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電通、靴でビール飲み強制…「社員過労死」文化は20年以上前から、東京五輪の発注停止すべき

文=横山渉/ジャーナリスト
電通、靴でビール飲み強制…「社員過労死」文化は20年以上前から、東京五輪の発注停止すべきの画像1電通(写真:ロイター/アフロ)

 11月7日、広告代理店最大手の電通に労働基準法違反容疑による東京労働局の強制捜査が入り、大規模な家宅捜索が行われた。電通では1カ月に200時間近く残業していた社員もいた可能性があり、厚生労働省は今後の書類送検も視野に入れる意向だ。

 新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が昨年末に過労自死した電通では、3年前にも男性社員(当時30歳)が過労死している。

 そして、1991年8月にも、入社2年目の大嶋一郎さん(当時24歳)が長時間労働を苦に自死。2000年に最高裁判所が「過労死」と判断し、労災認定している。

 この「電通事件」は、同社の過酷な長時間労働を世に知らしめるきっかけとなった事件であるため、振り返っておきたい。

 大嶋さんの自死は、会社側から長時間労働を強いられ、うつ病に罹患した結果であるとして、大嶋さんの両親は約2億2260万円の損害賠償を請求した。東京地方裁判所および東京高等裁判所は、ともに大嶋さんの長時間労働とうつ病、そして、うつ病と自死の因果関係を認めた。さらに、大嶋さんの上司らによる安全配慮義務違反についても認めている。

 つまり、大嶋さんの健康状態の悪化などを認識しながら、その負担軽減措置をとらなかったという過失である。

 ただ、第一審は会社側に約1億2600万円の損害賠償の支払いを命じたが、高裁は過失相殺を行い、損害額の7割(約8910万円)に減額した。これに対して、原告と被告の双方が上告。最高裁では、高裁の過失相殺判断を破棄して差し戻し、遺族側勝訴となった。

 高裁判断の過失相殺とは、「残業をした労働者にも責任あり」ということだが、これは最高裁で見事に否定された格好だ。

 また、裁判を通じて、終業後の部署ぐるみの飲み会や「反省会」など、法律では労働時間と認定されにくい拘束時間が多くあることも明らかになり、上司からのパワハラ体質も問題になった。上司は、大嶋さんに対して靴に注いだビールを飲むように強要したとされている。

問われる電通のセクハラ体質と労働実態

 今回の高橋さんのケースも、過労自死に至る構造は1991年の電通事件とほとんど同じだ。残業時間は自己申告とされ、サービス残業によって過少申告されており、警備員の巡回記録で長時間労働が明らかになった。また、高橋さんに長時間労働をさせながら、「目が充血したまま出勤するな」「女子力がない」と責めるなど、電通のセクハラ企業体質も問われている。

 電通事件における高裁の過失相殺もそうだが、日本では「残業は自由意思の部分もある」とする考え方が根強い。インターネット上にも、「残業が100時間を超えたぐらいで……」という類の書き込みは少なくない。

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