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特別企画・『賢者の選択 Leaders』アーカイブス vol.1

元LINE社長・森川亮が挑む新メディア「C Channel」の革新性はどこに? 異端の経営哲学「ビジョンは不要」とは?

『賢者の選択 Leaders』2015月10月5日放送より/構成=編集部
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森川 そうです。ある意味、サッカーでいうと、トップのフォワードに球を渡してシュートを打ってもらうみたいな、そういう感覚ですね。

松田 なるほどですね。CEOはどちらかというと、サッカーでいう監督的な立場で、フィールドの外から指示はある程度出すんでしょうけれども、細かいところまで指示は出さないっていうことですよね。

森川 そうです。なので、指示を出すのはどっちかっていうと選手交代とか、戦略の部分だけですね。

白石 そういったことがなかなかできないのが日本企業ですよね。「わかっていても難しくてなかなかできない」っておっしゃる方が多くて。

松田 いや、そうなんですよ。現場に口出しをしたくなっちゃうんですよね、経営者が細かいところまで。

森川 そうですよね。

松田 それをやり始めと、本当に大変なことになってしまうんですね。現場も委縮して動けなくなってしまうんですよね、そうなると。

森川 そうですよね。

白石 森川さんはもともとそういった考えをお持ちだったんですか?

森川 昔、僕もそういうタイプでした。ただ、そうしたら、みんな付いてくることしかやらなくなっちゃったんですよね。いつも自分が最前線にいなきゃいけないので、ちょっと疲れたっていうこともありますし、そうなるとたぶん自分を超えるような世界っていうのはつくれないってことに気がついたんですよね。なので、どちらかというと自分よりもすごい人たちを集めてきて任せるようにしたら、自分も楽になったし、そこから新しいものが生まれて、僕が考えつかないようなプロダクトが生まれるようになったんですよね。当時すごく僕が出すもの出すもの結構上手くいってまして、その勢いで原宿に無料のカフェを立ち上げたんですよね。

白石 無料ですか?

森川 はい。「当然、無料だったら、みんなタダですから飲みに来るだろう」ということでスターバックスの横に無料のカフェを出したんですね。

松田 竹下通り沿いの、近くのスターバックスですか?

森川 そうです。まさにあそこの隣の隣ですね。そしたら、誰も来ないんですよ。

白石 誰も来ないんですか?

森川 はい。もうびっくりして、もう店頭に立って「コーヒー、タダですよ」って言ったら、女の子たちが「キャー」って逃げたんですよね。「どうしてなの?」って言ったら、「タダほど怖いものはない」と。「何されるんですか?」みたいな。

松田 なるほど。

森川 なので、僕はちょっと若い人の感覚に合ってなかったってことですね。

松田 やっぱりそのタダっていうのはキーワードのひとつですよね。無料で何かを提供する、その分何か、例えば会員登録であったり、そういったものに入っていただく、そこからビジネスチャンスを広げていくっていうのが、今はそれが主流ですよね。

森川 そうですね。ただ当時はちょっと早かったみたいで。

松田 なるほど。

森川 タダだと怖いっていう人が結構多かったですね。

松田 森川さんが出てきて「コーヒー無料であげるから」って言ったら、びっくりして帰っちゃったわけですね。

森川 そうなんです。

(一同笑)

白石 それからは若い人に任せて見守るトップリーダーってことですよね。

森川 そうですね。

白石 でも、そうすることによって、なかなか統制が取れなくなるんじゃないですかね。そういった心配はありませんか?

森川 方向性だけ示すんですよね。例えばなんの地図もなく、なんの方向もなく、ただ走り続けたらみんなバラバラになっちゃいますよね。ただ、「あの山に登るんだ」っていうのを決めるんですよ。そうすると、どう道を行っても山の頂上には行くじゃないですか。そのぐらいでいいのかなと思ってまして、もう1歩1歩指示してたら時間も掛かるし、その人なりの走り方、進み方があるので、そこに任せるってことですね。

■2つ目のキーワード「ビジョンはいらない」

元LINE社長・森川亮が挑む新メディア「C Channel」の革新性はどこに?  異端の経営哲学「ビジョンは不要」とは?の画像4「メディアを通じて日本を元気する」を目的に立ち上げられたC Channel。

白石 では、2つ目のキーワードはなんでしょうか?

森川 2つ目のキーワードは「ビジョンはいらない」。

(ナレーション)自分の価値を見極め、自ら追い込むことで能力を発揮してきたC Channelのリーダー森川亮。次なるキーワードは「ビジョンはいらない」。その真意に迫る。

松田 さて2つ目のキーワードとして「ビジョンはいらない」というふうにおっしゃいました。会社にとってビジョンがいらないというのはどういうことなんでしょうか?

森川 そうですよね。本当はビジョンはいるんです。僕が考えるビジョンというのは、進むべき方向。例えば、この山を目指すみたいな、そういうビジョンは必要かなと思うんですが、ビジョンってもともと英語なので勘違いしてる人は結構多いのかなと思うんですよね。例えば社員を1,000人にするとか、売上100億円を目指すとか、本質的ではない具体的な目標とか、もしくは根性とか努力とか、そういうちょっと曖昧なキーワードとか、そういうものがビジョンだと思ってる人がいるので、そういうものだったらいらないだろうという意味ですね。

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