JR北海道は11月18日、在来線の総延長の約5割が「維持困難な路線だ」と公表した。経営安定基金の運用低迷に加え、安全投資負担が重くのしかかっているという。国鉄民営化で発足したJRのうちでも3島会社(北海道、四国、九州)の先行きは厳しいと当初から指摘されてきた。JR九州は不動産を中心としたビジネスに転換して株式上場を果たしたが、JR北海道はどこへ行こうとしているのか。
JR北海道の島田修社長は11月18日、札幌市で記者会見し、「民間企業として維持できるレベルを超える路線は赤字削減や路線のあり方を相談させてほしい」と地元自治体に協力を求めた。国から6822億円の経営安定化資金が供与されているが、高い利率での運用ができなくなり、赤字補填ができなくなったからである。
しかし、JR北海道が安全投資に資金を投入しなければならなくなったのは自業自得である。2013年の函館線で貨物列車の脱線事故が起こり、その後、レール検査データの改竄が発覚し、利用者の信頼を失った。
安全化投資に毎年350億円必要で、これに道内を今夏に襲った台風被害が追い打ちをかけた。
今後、JR北海道は沿線自治体と路線維持の費用負担などを協議する。自治体が鉄道施設を保有する「上下分離」方式を検討する。だが、JR北海道は公共交通という視点が欠落していないだろうか。採算性だけで、列車を走らせるのを中止することは正しい判断といえるのか。
路線区間ごとに自治体と協議するというのは、一見、客観性がありそうに見えるが、北海道全体の問題として議論していかないとおかしくなる。国の責任で、北海道と地元自治体を交えて将来を見据えた鉄道振興策のグランドデザインをつくることが必要不可欠だ。
JR北海道は会社更生法を申請するべき
荒療治だが、JR北海道は会社更生法を申請し、民間会社であることを返上してはどうかとの意見もある。JR四国、JR貨物も近い将来、法的措置が必要になるとの厳しい見方をする財界人もいる。
JR北海道が会社更生法を申請した後には、JR東日本に経営を任せるという手もある。そして、JR四国はJR西日本とJR東海が分担して面倒を見る。JR貨物は国が前面に出るしかないとの意見が多い。