「FREETEL」ブランドでスマートフォンを開発・提供しながら、MVNOとして通信事業も展開しているベンチャー企業のプラスワン・マーケティング。従来自社のスマートフォンとSIMのセット販売のみ取り扱ってきたが、今後は自社以外のスマートフォンとSIMのセットも提供するなど、戦略を大きく変えてきている。その理由はどこにあるのだろうか。
SIMフリー市場で存在感を高めるFREETEL
海外市場開拓が思うように進まなかった一方で、地盤となる日本市場も米アップルのiPhoneに侵食され、日本のスマートフォンメーカーはここ数年来、すっかり元気を失っている。そうしたなかにありながら、新たにスマートフォン市場に参入して攻めの姿勢を見せている日本のメーカーが、「FREETEL」ブランドで事業展開するベンチャー企業のプラスワン・マーケティングだ。
同社は2012年設立の新しい企業だが、MVNO(仮想移動体通信事業者:自社でモバイル通信のネットワーク設備などを持たずに、大手キャリア(携帯電話会社)の回線を一部買い上げてサービス提供する事業者)の急拡大によって広がりつつある、SIMフリースマートフォン市場向けにコストパフォーマンスの高いスマートフォンを次々と投入している。
SIMフリー端末とは、これまでキャリアごとに自社のSIMカードでしか使用できないようかけられていたロックが、解除された端末。SIMフリー市場では台湾のASUSや中国のファーウェイなど、海外の主要メーカーに匹敵するほどにまで存在感を高めている。昨年にはモデル・女優の佐々木希さんを起用したテレビCMを展開するなどして、シェア拡大に向けたさらなる知名度向上にも取り組んでいるようだ。
通常、日本のメーカーがスマートフォンを開発すると、自社製造が基本となるためコストが高くなる傾向にある。だがプラスワン・マーケティングは、基本的にスマートフォンの設計は自社で手掛けつつ、製造は中国などにあるODM(委託者のブランドでの製品設計・生産)メーカーを活用。これによってコストパフォーマンスの高いスマートフォン新製品を次々と生み出し、SIMフリー市場で人気を獲得することに成功したのだ。