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筈井利人「一刀両断エコノミクス」

トランプの米国第一主義=「反戦主義」批判は見当違い…米国建国の精神そのもの

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ドナルド・トランプ米国大統領(AP/アフロ)

 米国のドナルド・トランプ新大統領が打ち出した「米国第一主義」が、内外のメディアから批判されている。トランプ氏の米国第一主義は中身が雑多で、そのなかには保護貿易など誤った政策も含まれるのは事実だ。しかし本来の米国第一主義とは、ある種の外交政策を指す。その部分まで一緒くたに叩くのは、適切といえない。

 トランプ氏は大統領選中から、米国は国外で余計な軍事介入をしないという姿勢を強調している。日本や韓国には米軍駐留経費の全額負担を求め、応じなければ撤退も辞さない構えを示した。これにメディアは衝撃を受け、「過激」「無責任」などと非難する。

 しかし余計な軍事介入をしないという考えは、最近の米国からは想像しにくいかもしれないが、過去には同国で有力な外交方針だった。それどころか、建国時にさかのぼる伝統的な外交政策なのだ。

 初代大統領ジョージ・ワシントンは1796年の退任挨拶で、外交政策の理念をこう述べている。

「我が国にとって優れた外交方針とは、諸外国と通商関係を広げながら、できる限り政治的なつながりを持たないことである。(略)世界のどの国々とも永続的な同盟を結ばないようにするのが、我が国の真の政策である」

 これは、非同盟主義と呼ばれる考えである。ワシントンは「米国第一主義」という言葉を使ってはいないが、意味するところは変わらない。米国自身の問題を第一に考え、他国の問題に巻き込まれかねない政治・軍事同盟を結ばないということだ。

 ワシントンが当時意識したのは、独立を果たしたばかりの米国と欧州諸国との関係である。もし欧州諸国の一部と同盟を結べば、自国の平和と繁栄を犠牲にしてまで、欧州の野望や利益、世論や気まぐれに巻き込まれかねないと恐れた。

非同盟主義


 そもそも英国の植民地だった米国が独立に踏み切ったのは、英国が他の欧州諸国との間で戦争に明け暮れ、その経費を税として取り立てられるのに嫌気が差したからである。せっかく独立を果たしたのに、また欧州のどこかの国と同盟を結べば、それは自分たちの運命を再び他国に委ねることになる。ワシントンをはじめとする建国の父たちは、賢明にもそう考えたのである。

 ワシントンの考えに従い、米国は1800年、独立戦争に際してフランスと結んだ米仏同盟を終わらせる。これ以降、長きにわたり非同盟を貫いていく。

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