できることなら、仕事は楽しい雰囲気でやりたいというのは誰もが同じ。
だが、上司にミスや失注を報告するとき、部下を降格させる必要が出てきたとき、あるいは解雇する時など、悪い知らせや、残念な知らせを伝えなければないこともあるのが仕事である。
誰もができれば言いたくない「悪い知らせ」は、言い方によっては相手との間にわだかまりを残し、敵意を持たれてしまうこともある。
伝えるべきことを伝え、かつ相手との関係を傷つけないためにはどうすればいいのか。
■悪い知らせを伝えるときに心がけるべき4つのC
このような悩みにヒントをくれるのが、『悪い知らせをうまく伝えるには?:幸せ拡散7つのルール』(ミシェル ギラン著、草思社刊)。本書によれば、以下の4つのポイントを意識することで、悪い知らせを効果的に伝えることができるのだという。
1.ソーシャルキャピタルを築く(create)
ソーシャルキャピタルとは、社会や地域における人々の信頼や結びつきを表す概念を指し、これは周囲とのポジティブな交流により築くことができる。
お茶やお酒を共にしたり、相手のことを人前で繰り返し褒めたり、毎日数分の雑談を欠かさなかったりと、地道な積み重ねをすることで、相手から魅力的で好ましい人物として認識される。これこそ、「ソーシャルキャピタルを築けた」状態にほかならない。
2.状況(context)を説明する
ソーシャルキャピタルを築いた上で次にすべきこと。それは、なぜ悪い知らせを伝えなければならなくなったのかの状況説明だ。
またその際、単に客観的な情報を伝えるだけでなく、知らせを受ける相手の立場、ネガティブな知らせから連鎖的に起こる出来事などを、こちらがきちんと理解していることが伝わるように工夫することも重要になる。
そして何より、現状をポジティブに捉えられるような状況説明を心がけることがポイントだ。
3.説明する相手に思いやり(compression)を示す
状況説明とセットで重要になのが、相手への思いやりを示すこと。具体的には、相手のストレス、苦しみ、不運を気にかけることだ。
そのようにして相手の苦しみに共感し、人間味を示すことが、望ましくない状況に直面したときに素晴らしい関係を築く第一歩になる。
4.責任を持って関わり続ける(commit)
そしてこれが最重要ポイントだが、悪い知らせをするときは、「これで終わりではない」ということを示さなければならない。つまり、「次に」どうすべきかを相手に伝えたほうがいいのだ。
改善手段をどうするか、進捗具合をどう確認するのか等を決め、具体的に説明する。そうすることで、こちらが相手の幸福と成長に関わるつもりであること、その実現を心から信じていることを示すことができるからだ。
■着任後1時間で解雇通告をした、あるマネジャーの「失敗」
本書には、着任して1時間も経たないうちに、同部署の結果を出せていないメンバー2人に解雇通告をしたマネジャーの話が登場する。