現代を生きる私たちは、知らず知らずのうちに、ライフスタイルのなかに認知症発症のリスクを多く抱えています。
例えば、毎日1~2時間の「寝不足」がたまっていくことを「睡眠負債」と言い、この状態に陥ると、認知症になるリスクが高まることが知られています。また、ファーストフードや揚げ物などジャンクフードを食べる人は食べない人に比べ、物忘れが多くなるリスクが2倍以上高くなり、認知症になりやすいという報告も。
実際、認知症を発症する患者数は年々増え続けており、日本では2025年には700万人(高齢者の5人に1人)に達すると考えられており、大きな社会問題となっています。
こうした状況で、認知症の予防が社会の大きな課題となるなかで、注目されているのが、20年以上前から開発が進む「臨床美術(クリニカルアート)」です。
「臨床美術」とは、絵を描く、オブジェを作るなどの創作活動によって脳を活性化させる活動。認知症の予防と進行抑制に効果が期待できるとされ、デイサービスや介護施設、病院での認知症の改善 のほか、地方自治体でも導入されています。
認知症の専門医の朝田隆医師と「臨床美術」の開発と普及に努める芸術造形研究所の共著『絵が上手くなるミラクル定規で描くだけ! 脳を鍛える大人のスケッチ』(アスコム刊)によると、認知症予防に役立つとされているのは、「右脳と左脳をバランスよく使うこと」。
「右脳は感性、左脳は論理」とよく言われるように、厳密に分けられているわけではないものの、スケッチをしている時は、右脳が普段より活性化するようです。
そして、スケッチのおもしろいところは、イメージを膨らませるだけでなく、構図を論理的に考える力も必要とされる点。つまり、左脳と右脳を両方使う点にあります。
本書は、どんな人でもスケッチを楽しめるよう工夫を凝らしています。その一つが、絵のテクニックがないことでつまづくことがないよう、誰でも上手にスケッチできる特製の定規。
これがあれば、昔から絵が苦手だった人でも、手持ちの色鉛筆を使って脳のトレーニングができます。流行した「大人の塗り絵」に加えて「大人のスケッチ」も、将来の自分のために役立ててみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。