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鈴木貴博「経済を読む目玉」

20年後、本当に頭脳労働は消滅し、肉体労働は残るかもしれない…AIと原子爆弾

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『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(鈴木貴博/講談社)

 人類の仕事は2045年に向けて段階的に消滅していくと予測されている。この分野の議論は盛んで、「人類の仕事の47%は20年以内に人工知能(AI)とロボットに置き換わる可能性がある」という英オックスフォード大学の予測を中心に、仕事の大半が消滅するという意見から、多くの仕事は最後までなくならないという意見まで議論は百出の状態だ。

 もし人類の仕事が本当に消滅したら、大変なことになる。仮にそのようなことが起きたときに何が起こるのかをまとめたのが私の近著『仕事消滅』(講談社)なのだが、私の周囲で盛んなのはその前の議論、つまり「20年後に仕事消滅は起きるのか?」という話題のほうに焦点が当たっている。

 AIの発展、機械がインターネットに全部つながるIoT(インターネット・オブ・シングズ)の普及、それにともないこれから先、想像もできないほどの産業イノベーションが起きるといわれている。それにより新たな仕事が生まれる仕事創造と、そのことが破壊する仕事消滅のスピードのどちらのペースが速いかによって、未来は異なるというわけだ。

 そして現時点の意見としては「仕事はなくならないだろう」という考えのほうが多数派だ。多数派である理由は、「そうなってほしいと思う人のほうが多いから」である。でも現実には不安な要素は山ほどある。これからお話しする不気味な符合から、人類は逃げられるのだろうか?

一度完成したら後戻りできない


 まず指摘したいのは、AIによる仕事消滅の問題は、原子爆弾の開発と似ているということだ。

 今、先進国の大企業が直面しているのは、いかに人を減らすかという経営課題である。少子高齢化が進む日本では、特に「人が採用できない」問題によって事業拡大ができない会社が少なくないが、欧米では「人をマネジするコストが高い」ことや「人を減らすことが生産性を上げる鍵である」ことから、人を機械やコンピュータに置き換えることに力を入れてきた。

 しかし、システムの導入効果には限界がある。実際、いろいろな企業が「生産性を上げる」という目的でIT化を進めてきたが、それでも人は一向に減らず、生産性も十分には上がっていない。これが過去30年間に起きてきたことで、ここまでは「ITが人類の仕事を消滅させるなど絵空事だ」という意見は正しかった。

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