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前川修満「会計士に隠しごとはできない」 

イオン、その知られざる危機的状況…主力・スーパー事業、利益額95%減の深刻さ

文=前川修満/公認会計士・税理士、アスト税理士法人代表
イオン、その知られざる危機的状況…主力・スーパー事業、利益額95%減の深刻さの画像1イオンの店舗(「Wikipedia」より/アレックス)

 2016年度と17年度は、好決算の企業が相次ぎました。その一方で、凋落の感じられる会社もあります。そんな会社のひとつが、今回紹介するイオンです。まずは、イオンの過去5年間の業績の推移をみてみましょう。

イオン、その知られざる危機的状況…主力・スーパー事業、利益額95%減の深刻さの画像2

 イオンは5年前と比較して、営業収益が5兆6853億円から8兆2101億円へと44パーセント成長させたのに対し、経常利益は2125億円から1873億円へと12パーセント減らしています。さらに目を見張るのは、当期純利益です。これが、5年前は745億円あったのに対し、直前期では112億円にまで縮んでしまっています。

気になる総合スーパー(GMS)の凋落

 
 その最大の理由は、イオンの主力事業である総合スーパー(GMS)の業績悪化です。イオンは下記の事業を営んでいます。

GMS事業:総合スーパー
SM・DS事業:スーパーマーケット、ディスカウントストア
小型店事業:コンビニエンスストア、小型スーパーマーケット、弁当惣菜 専門店
ドラッグ・ファーマシー事業:ドラッグストア、調剤薬局
総合金融事業:クレジットカード事業、フィービジネス、銀行業
ディベロッパー事業:ショッピングセンターの開発及び賃貸
サービス・専門店事業:総合ファシリティマネジメントサービス業、アミューズメント、外食、ファミリーカジュアルファッション、婦人服を販売する専門店
国際事業:アセアン地区及び中国における小売事業
その他事業:デジタル等

 これらの事業種類ごとの業績を5年前と比較して示すと、下記のようになります。

イオン、その知られざる危機的状況…主力・スーパー事業、利益額95%減の深刻さの画像3

 これをみてもわかるように、かつてイオンは、売上高の最も大きなGMSで556億円の利益を稼いでいました。ところが、その5年後の17年2月期には、GMSの利益が24億円にまで縮小しているのです。

 ここで、注意を要することは、イオンのGMSは売上高を2兆6144億円から3兆122億円にまで伸ばしていることです。つまり、この5年間で売上高を15パーセント伸ばしたにもかかわらず、利益額が95パーセントも縮んでしまっているのです。

「総合金融」は大きく業績を向上

 その一方、総合金融の利益額は220億円から619億円となっており、大幅に業績を伸ばしています。つまり、この5年のうちGMSでは大幅に利益を減らした一方で、総合金融では大幅に利益を増やしたということです。

前川修満/公認会計士・税理士、アスト税理士法人代表

前川修満/公認会計士・税理士、アスト税理士法人代表

1960年石川県金沢市生まれ。同志社大学商学部卒業。公認会計士・税理士・日本証券アナリスト協会検定会員。澁谷工業株式会社、KPMG港監査法人(現・あずさ監査法人)を経て、1992年に公認会計士・前川修満事務所を開業。2006年にはアスト税理士法人を設立し、代表社員に就任。これまで、数多くの経営者や会社員に、セミナーや書籍を通じて決算書の読み方を解説してきた。決算書を通して企業の「裏の顔」を見つけ出す方法とその面白さを知ってもらいたい、との思いから2015年に『会計士は見た!』(文藝春秋)を執筆。『やっぱり会計士は見た!―本当に優良な会社を見抜く方法』は、決算書から「裏の顔」を見出す手法をいかし、優良な会社をいかに見抜くか、さらにそこから日本企業が今後何をすべきか、という視点で著した。

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