相次ぐチケット転売の逮捕は、社会への見せしめか?
チケットの高額転売に関する逮捕者が相次いでいる。今年に入り、少なくともEXILEやサカナクション、嵐などのコンサートチケットを転売目的で購入した者が検挙されている。9月には、関ジャニ∞のチケット転売詐欺で誤認逮捕され、19日間にわたって勾留されるという事件まで起きている。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、チケット高額転売を規制する法整備の検討が始まったとの報道も出ているが、政府の力の入れようは尋常ではない。
そこでチケット流通をめぐり、日本では今何が起きているのか、改めてここで検証してみたい。
チケット流通業界は1次vs.2次の対立が勃発
チケット流通では、昔からいわゆるダフ屋にまつわる高額転売が問題とされてきた。しかし近年、ネットサービスの整備により2次流通の市場が急速に拡大。約7割の2次流通市場を占める「チケットキャンプ」が2015年に大々的にテレビCMを打ち出したことで、1次流通と2次流通の対立が表面化し、16年8月には4業界団体主導の下、116組の国内アーティストと24の国内音楽イベントも参加した、「チケット高額転売取引問題の防止」を求める新聞の全面広告が掲載された。この意見広告をきっかけに、チケットの高額転売が社会的な問題として位置づけられるようになった。
チケット流通の問題はどこにあるのか?
チケット流通には、そもそもどのような問題があるのか。チケットの高額転売が生まれる背景を軸に、チケットの1次流通と2次流通の問題点を明らかにしていく。
まず、1次流通においては、チケット転売が生まれる土壌があり、運営者の姿勢にも問題が散見される。一般的に、消費者は「確実にチケットを獲得したい」「もっといい席のチケットを獲得したい」と願うものであり、チケットの価格が定額であればあるほど、過剰な申し込みを消費者が行い、結果的にひとりで複数のチケットに当選するという事態を招くことが容易に想像できる。また、多くのチケットが購入後の変更やキャンセルができないことから、結果的に転売を招くことにつながる。