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ドトール、誰でもサッと入れる「店舗外観の秘密」…「そこそこの心地良さ」追求の緻密戦略

文=中村未来/清談社
ドトール、誰でもサッと入れる「店舗外観の秘密」…「そこそこの心地良さ」追求の緻密戦略の画像1ドトール北心斎橋店(「Wikipedia」より/Mc681)

 コメダ珈琲店、タリーズコーヒー、そしてスターバックス コーヒー……。並みいるライバルがひしめくカフェチェーン業界において、ここ数年で頭ひとつ抜け出した感があるのがドトールコーヒーだ。

 その勢いは、ついに顧客満足度でスタバを上回るまでになっている。利用者の心をつかむドトールの居心地の良さには、どんな秘密があるのだろうか。経営コンサルタントの請川崇之氏に話を聞いた。

スタバと対照的な“心理的ハードル”の低さ

 日本生産性本部 サービス産業生産性協議会が今年6月に発表した2017年度の「JCSI(日本版顧客満足度指数)」によると、カフェ部門の「顧客満足」で1位に輝いたのは3年連続でドトールだった。

 スタバは「顧客期待」「知覚品質」「推奨意向」の3指標で首位だったものの、「顧客満足」ではトップ4にも入っていない。なぜ、ドトールの顧客満足度がこれほど高いのか。その理由について、請川氏は「ドトールが使い勝手の良い、都合の良いお店だから」と指摘する。

「特別おしゃれでもなく、気取った感じもしないドトールは、来る者を拒まない雰囲気があります。もちろん、これはドトールの戦略です。お店の外観のことを『ファサード』といいますが、ドトールのファサードは、一見さんでも入りやすいようにうまく工夫されているのです」(請川氏)

 対照的に、スタバのファサードは“おしゃれさ”を前面に押し出したつくりとなっている。さらに、入り口の広さ、店内の照明、ガラス張りの外観など、細部に至るまで計算してつくり込まれているため、いかにも“おしゃれな人御用達”といったイメージがある。

 一方、ドトールにはこうした心理的ハードルがまったくない。

「上司や同僚との打ち合わせ、約束までに少し空いた時間をつぶしたいときなど、『座ってコーヒーを飲みたいが、高いカフェに行くほどではない』というシチュエーションで、ベターなのがドトールです」(同)

 ドトールは、コーヒーが安い上にサンドイッチなどのフードも充実しているため、カフェとしてのコストパフォーマンスが非常に高い。

「もちろん、ほかのカフェチェーンという選択肢もありますが、単純に店舗数が多いので、必然的にドトールを選ぶ確率が上がるわけです」(同)

 2017年8月末現在、ドトールの店舗数は全国で1126と、国内一の規模を誇るスタバの1288(同年6月末現在)に迫る勢いだ。これだけ店舗数を拡大することができるのは、「ドトールの出店物件条件がそれほど厳しくないからでは」と請川氏は分析する。

「ドトールの各店舗を見ると、カウンターと客席が外階段でつながっていたり、狭いビルに店舗が入っていたりすることがあります。立地条件を低くすれば、店舗数を増やしやすくなり、結果的に顧客増加へとつながるのです」(同)

喫煙者に優しく“ネオ酒場”にも通じる気軽さ

 そしてもうひとつ、ドトールの成長ぶりには「飲食業界全体のトレンドも関係している」と請川氏は言う。

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