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ドトール、誰でもサッと入れる「店舗外観の秘密」…「そこそこの心地良さ」追求の緻密戦略

文=中村未来/清談社

「確かに、おしゃれさを売りにした“インスタ映え”する店にもニーズがありますが、毎日そういう店では客側も疲れてしまう。肩肘を張らなくていい気軽に入れるお店が、最近の飲食業界のトレンドとなっているのです」(同)

 そのわかりやすい例が「ネオ酒場」だ。一昔前の居酒屋といえば、店先にのれんと赤ちょうちんがぶら下がり、外からは店内の様子が見えず、「常連客のたまり場」というイメージだった。

 しかし、近年若者や女性客の支持を集めるネオ酒場は、明るく清潔感のある外観と内装が特徴だ。それでいて、メニューは焼き鳥など従来の居酒屋と変わりがなく、価格帯もリーズナブルな設定になっている。

「そうした気軽さとコスパの良さを魅力的に感じたお客が、仕事帰りに1杯だけ飲んでサッと帰る“ちょい飲み”のために、ネオ酒場に足を運ぶわけです。ドトールも同じ。手頃な価格のコーヒーをサッと飲んで帰るのにピッタリの店なんです」(同)

 また、ほかの飲食店が全面禁煙化を進めるなかで、ドトールは基本的に分煙を貫いている。一部で完全禁煙店もあるが、この「喫煙者に優しい」という点もドトールの特徴だという。

「しかも、ドトールは喫煙スペースにも十分な広さを設けています。喫煙者ならわかると思いますが、最近の飲食店は喫煙スペースの椅子やテーブルを禁煙スペースのものよりワンランク落としている場合が多いんです。椅子にお金をかけなくても、たばこが吸えれば喫煙者が来るということを店側も知っているからです」(同)

 そんな風潮のなかで、喫煙者にとっても居心地の良い空間をつくっているドトールは「珍しい存在といえるでしょう」と請川氏は言う。

 請川氏は、「ドトールの勢いは、今後しばらくは続くだろう」と予測する。気軽さ、手軽さ、居心地の良さで利用者の支持を集めるドトール。顧客満足度のみならず、ほかの指標でもスタバを超える日はそう遠くないのかもしれない。
(文=中村未来/清談社)

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