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トヨタ没落、三菱自繁栄の可能性…EV主流化=日本勢の優位性消滅、中国が主役か

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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トヨタ没落、三菱自繁栄の可能性…EV主流化=日本勢の優位性消滅、中国が主役かの画像1トヨタ自動車・豊田章男社長(AP/アフロ)

 足許の国内自動車メーカーの株価の推移を見ていると、トヨタ自動車日産自動車に比べて三菱自動車の上昇が顕著だ。同社のSUV型EV(電気自動車)投入が評価され、投資家からの買いが集まっているようだ。

 三菱自といえば、これまでに繰り返しリコール問題などの負のイメージがついて離れない。実際、ある米国人のベテランファンドマネージャーは「ミツビシモーターズは、本来であれば、淘汰されてしかるべき企業。これまでのマネジメントの甘えを正さない限り、EV技術があるとはいえ日産傘下でも再生は難しいだろう」と指摘していた。確かに、この指摘には説得力がある。

 ただ、グローバル経済のなかで企業間の競争は、常識の通用しない、非連続なものになりつつある。これまでのマーケットリーダーが競争をリードするとはいい切れない。それゆえ、三菱自が蓄積してきたEVの開発技術を磨き、スタートアップ企業のような気構えで新しい商品を生み出すことができれば、経営の立て直しと成長は可能かもしれない。三菱自のマネジメントがゼロから企業をつくり上げる気概で、EVをヒット商品に仕立てられるか否かが問われる。

EV開発競争という絶好のチャンス

 三菱自といえば、2000年、04年にリコール隠しが発覚し、利用者をはじめ社会からの信頼を失ったヒストリーがある。この上に、16年4月には燃費試験の不正問題が発覚し、同社の信頼は大きく失墜した。この状況に目をつけたのが、ルノー・日産アライアンスのトップを務めるカルロス・ゴーン氏だった。

 当初、日産の決定について、「不祥事の巣窟ともいうべき三菱自を吸収するメリットはあるのか」といった疑問は多かった。一度大きく傷ついた“コーポレートイメージ”を修復することは容易ではない。

 日産による三菱自救済の背景には、ゴーン氏の野望がある。日産は、売上台数の増加に加え、新興国を中心に世界が注目するEVの開発力を高め、今後の競争に勝ち残ることのできる体制を整えることを目指した。

 その点で、EV技術の強化を実現し、他国に先駆けて実用性と満足度の高い車種を投入することが三菱自の将来を左右すると考えられる。ある意味、日産は三菱自を傘下に収めることで、EV開発を強化するという賭けに出たともいえる。これは、EVの技術を蓄積してきた三菱自にとっても、空前絶後の経営立て直しのチャンスだ。

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