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トヨタ没落、三菱自繁栄の可能性…EV主流化=日本勢の優位性消滅、中国が主役か

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 新興国では環境負担の軽減などを理由にガソリン、あるいはディーゼル車からEVへのシフトが急速に進みつつある。すでに、世界最大の自動車販売市場である中国では、ガソリンエンジンなど内燃機関を搭載した自動車の生産と販売を停止する計画の策定に着手した。インドもEVにかかる税率を引き下げるなど、EVの普及に向けた取り組みが急速に進んでいる。

 中国政府の取り組みを受けて、世界最大級の自動車メーカーであるドイツのフォルクスワーゲンが25年に世界全体で300万台のEV販売を目指すなど、主要メーカーを中心にEVの開発競争が熾烈化し始めている。

EV化がもたらす競争の激化

 電気自動車の開発をめぐる競争は、世界の自動車業界の勢力図を一変させるマグニチュードを持っていると考えられる。

 注意が必要なことは、こうした競争が“非連続”に進む可能性があることだろう。従来の大手自動車メーカーがこの競争を有利に進めるという保証はない。事実、世界最大のEVメーカーは中国の比亜迪(BYD)だ。もともとBYDはパソコンなどのバッテリーを手掛けるメーカーだった。それが自動車メーカーを買収することで大手EVメーカーとしての地位を確立するまでになっている。自動車メーカー以外の企業がEVの開発に参入し、競争が激化する可能性もある。高級EVのセグメントでは、米国のテスラが先行している。

 すでに国内の株式市場では、パナソニックなどのバッテリーメーカーなどの株価が自動車銘柄よりも堅調だ。今後、バッテリーメーカーが完成車の生産と販売に参入するなど、多くの企業にとってEV化はイノベーションを起こし需要を取り込むチャンスに移るだろう。競争は日に日に熾烈化すると考えたほうがよい。

 中国を中心とするEVの普及策の進行は、ディーゼル車が排出された排ガスデータの改ざんを行っていたフォルクスワーゲンにとって、過去の負の記憶を消し去り、新しいブランドのイメージを構築する絶好のチャンスにもなっている。

 同様のことが三菱自にも当てはまるだろう。EVの性能向上、プロダクトポートフォリオの拡充などを進め、先進国と新興国両方でのEVの需要を取り込むことができれば、同社はEVのリーディングカンパニーになることができるかもしれない。それは、過去のリコール問題などのマイナスのイメージを払しょくすることにもつながるだろう。

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