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地方大学離れの惨状…通学難&就職難、援助策として国は東京の大学定員増を禁止

文=小川裕夫/フリーランスライター
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地方大学離れの惨状…通学難&就職難、援助策として国は東京の大学定員増を禁止の画像1「Thinkstock」より

 国家戦略特区を活用して、愛媛県今治市に開学が予定されている岡山理科大学獣医学部。運営元である加計学園の加計孝太郎理事長と安倍晋三首相が腹心の友であることから、一連の許認可までの流れが“加計ありき”ではないかと疑いが向けられ、開学も危ぶまれている。

 しかし、そうした疑惑報道がなくても、実は「東京圏・大阪圏などの大都市圏以外で新たな大学を開学することは難しくなっている」と地方自治体関係者は頭を悩ませている。これまで地方都市に立地する大学は、広大なキャンパスをウリにしてきた。地方都市の大学が東京都心部の大学に太刀打ちするには、土地が安いという点を生かし、広大なキャンパスで勉学に励めるという環境をアピールするしかなかった。

 しかし、そんなウリ文句は大学志願者にとってなんの意味もなさない。今般、東京や大阪には新しい大学が次々にオープンしている。それにつられるかのように、多くの若者が地元を離れて都市圏の大学に進学する。わざわざ田舎に残ろうとする若者は少ない。

 過疎化が急速に進行している地方の市町村にとって、大学進学で若者が流出してしまうことは、自治体そのものの危機でもある。そうした危機感から、人口減に苦しむ地方の市町村は知事の協力も得て、政府や文部科学省に大学を都市圏に新設させないように働きかけていた。

 安倍政権が掲げる地方創生と、そうした地方の思惑とが一致。地方の市町村が人口減少によって衰退することを食い止めることを大義名分に掲げ、このほど東京23区内に新しく大学を開設することや既存大学の学部新増設、定員増を原則として認めない告示を出した。

 東京23区内の大学に進学する若者を抑制することで地方の人口流出を食い止め、それと同時に地方の活性化につなげようと政府と文科省は考えているのだろう。

 しかし、これによって若者が地元に残ると考えるのは、あまりにも現実を甘く見過ぎている。いくら地元とはいえ、不便な田舎にキャンパスを構えている大学に進学しようと考える若者はいない。ましてや、ネームバリューがない地方の大学はその後の就職活動にも影響が出る。そのため、無理をしても東京・大阪の大学に進学を希望する若者は多いのだ。

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