ドライブレコーダー銘柄が買われている。
自動車用品製造・卸売の大手でジャスダック上場のカーメイトの株価が急騰した。10月18日の終値は716円だったが、19日にストップ高となった余勢を駆って20日は前日比150円高の1016円のストップ高の買い気配。13年5月以来の株価3ケタ乗せとなる。週明けの23日は1316円のストップ高売り気配、24日も同じく1616円のストップ高買い気配で値がつかなかった。
連日ストップ高買い気配となり、実際に値段がついたのは10月25日。年初来高値の2016円をつけた。年初来安値549円(2月9日)の3.7倍だ。出来高は137万株に膨れ上がった。通常は1000株から2000株の商いだから、異常ともいえる出来高だ。
カーメイトはなぜ買われたのか。
ドライブレコーダー付360度カメラが注目材料
神奈川県大井町の東名高速道路で6月、ワゴン車が大型トラックに追突され夫婦が死亡した。パーキングエリアで夫から駐車位置を注意された男が逆上、夫婦のワゴン車を追いかけ、進路を防ぐなどの妨害行為を繰り返したとして、神奈川県警はこの男を自動車運転処罰法違反(過失致死傷)などの疑いで逮捕した。横浜地検は31日、より刑の重い同法違反(危険運転致死傷)と暴行の罪で起訴した。
この事件をきっかけに、「あおり運転」と呼ばれる威嚇行為に対する社会的関心が高まった。
10月17日付『NHKニュースWeb』は、「ドライブレコーダー売り上げ急増。交通トラブル対策」との見出しの記事で、以下のように伝えた。
「交通トラブルによる事故が各地で相次ぐ中、危険な運転や事故に遭遇した際に自分の身を守るため、ドライブレコーダーを買い求める動きが広がっています」
「東京・大田区にある大手自動車用品店では、今月に入ってから17日までに、ドラブレコーダーの売り上げが前の年の同じ時期に比べて3倍に上っているということです」
カーメイトは、10月27日から東京ビッグサイトで開催された「第45回東京モーターショー2017」に、ドライブレコーダー付き360度カメラ「d’Action360(ダクション360)」を出展した。同カメラは走行中の社内外を360度撮影でき、通常のドライブレコーダーでは撮りきれない横方向からの突然の飛び出しや後方からの無理な追い越しを記録することが可能だとしている。
このドライブレコーダー付き360度カメラを材料に、カーメイト株に買いが殺到した。カーメイトの18年3月期の連結決算の売上高は前期比8%増の201億円、営業利益は65%増の7.5億円、純利益は4.2倍の3.5億円を見込んでいる。
東名高速道路での事故をきっかけに、一般道も含めたあおり運転が社会問題化して、ドライブレコーダー需要が高まった。これに呼応してカー用品の銘柄が買われた格好だ。
カー用品首位のオートバックスセブンの年初来高値は11月1日の2062円。年初来安値(1600円、4月14日)の29%高。業界2位のイエローハットは10月31日に年初来高値3495円をつけた。年初来安値(2387円、4月17日)と比較して46%アップした。ジャスダック上場のオートウェーブも10月25日に年初来高値233円をつけ、年初来安値(99円、4月12日)の2.35倍だ。
メーカーではカーナビのJVCケンウッドが10月19日に356円の年初来高値をつけた。年初来安値(259円、4月14日)比で37%上昇した。
カー用品業界はカーナビの落ち込みが続き苦戦を強いられてきたが、ドライブレコーダーが需要回復の起爆剤になりそうだ。
(文=編集部)