ビックカメラが10月20日に2017年8月期決算説明会を開いた。説明会で同社の宮嶋宏幸社長は、同期の連結売上高は7906億円(対前年比1.5%増)、営業利益218億円(同0.7%減)、経常利益243億円(同5.6%増)と報告した。経常利益だけが若干の伸張を示した。
売上高で見ると、ビックカメラは家電量販店大手7社のなかで2位の位置を保持している。
1位 ヤマダ電機 1兆5630億円
2位 ビックカメラ 7906億円
3位 エディオン 6744億円
4位 ケーズHD 6581億円
5位 ヨドバシカメラ 6580億円
6位 ノジマ 4320億円
7位 上新電機 3743億円
(ビックカメラ以外は17年3月期決算)
ところが、対売上高経常利益率で見ると、同社は5位に沈んだままだ。
1位 ヨドバシカメラ 8.45%
2位 ケーズHD 4.87%
3位 ヤマダ電機 4.22%
4位 ノジマ 3.56%
5位 ビックカメラ 2.95%
6位 エディオン 2.37%
7位 上新電機 2.13%
つまり、経営下手という通信簿をもらったようなかたちとなった。主要商品である家電やIT関連商品の売上が苦闘している状況に対して、宮嶋社長は「家電でない商品を伸ばしていく」との戦略を示した。しかし、同社の製品多角化という戦略は機能するのだろうか。
動き出していたビックカメラの製品多角化
家電量販店大手各社の本業の業績は、近年いずれも不調である。それは、もちろんネット通販によって実店舗での販売が大きく蚕食されてきたからである。そのなかでヨドバシカメラだけが以前からネット通販に注力しており、対売上高経常利益率でも他社を大きく凌いでいる。
ビックカメラは12年に同業のコジマを買収し、その分13年度の売上を伸ばしたが、14年8月期の連結売上8300億円をピークに、前回の決算までそれを落とし続けてきた。
宮嶋社長としては、ここでなんとしてもその退潮傾向に歯止めをかけて、反転攻勢をかけたいところだろう。
そこで、店頭での販売が頭打ちになった家電商品以外の物販に活路を見いだそうという戦略なのだ。しかし、今回宮嶋社長が示した方針というのは、実は同グループのなかではすでに進みだしている動きの追認で、目新しいものではない。