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パナソニックを手玉に取った香港系ファンドの次の「獲物」

文=編集部
パナソニックを手玉に取った香港系ファンドの次の「獲物」の画像1「Thinkstock」より

 アルプス電気が子会社で車載機器大手のアルパインを完全子会社にする手法に、香港のアクティビスト(物言う株主)、オアシス・マネジメント・カンパニーが「買収価格が不公正」として異議を申し立てた。

 アルプスが公表した株式交換比率が「アルパインの事業価値を十分に反映していない」と主張。TOB(株式公開買い付け)による買収に切り替え、TOB価格を引き上げるよう求めた。

 株式交換方式ではなくTOBに切り替わり、TOB価格が引き上げられるのではないかとの思惑から、アルパインの株価が11月に入って急騰した。11月27日に2809円の年初来高値をつけている。

 アルプス電気は7月、アルパインを株式交換によって完全子会社にすると発表した。アルプス電気はアルパイン株式の40.43%を保有している。既存株主にアルパイン株1株に対しアルプス電気株0.68株を割り当てる。19年1月1日に完全子会社にする予定。アルパインは18年末に上場廃止となる。

 アルプス電気は持ち株会社体制に移行し、19年4月1日にアルプスホールディングスに商号を変更する。そしてその傘下に事業会社のアルプス電気とアルパイン、アルプス物流を置く。

 アルプス電気の業績は好調だ。18年3月期の連結売上高は前期比9%増の8207億円、営業利益は同52%増の673億円、純利益は同40%増の490億円の見込み。北米や中国向けにスマートフォンのカメラの手ぶれを補正する部品が伸びる。

 一方、子会社のアルパインの18年3月期の連結売上は前期比5%増の2600億円、営業利益は60%増の90億円だが、純利益は38%減の48億円の見込みだ。主力の車載機器の競争が激化し、利益率が下がっている。構造改革費用を計上することもあって純利益は大幅減となる。

 アルプス電気は、アルパインを完全子会社にするのは自動車のIT化に対応するのが狙いだと説明している。

 完全子会社計画に待ったをかけたオアシスは、アルパインの発行済み株式の9.18%を保有する第2位の株主に躍り出た。10月30日、関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになった。オアシスのセス・フィッシャー最高投資責任者は「経営統合そのものには反対しないが、現時点の株式交換比率や買収手法は受け入れられない」と述べている。

 アルパインの10月27日終値は2284円。交換比率1対0.68として、アルプス電気の株価(同3275円)を基に単純計算すると、アルパインの企業価値を1株2227円とみていることになり、実際の株価を下回るというのがオアシスの主張だ。そこで、アルプス電気とアルパインに「アルパイン株式を1株2400円で買い取る」意向を伝えたという。なお、アルパインの12月6日の終値は前日比100円安の2331円である。

 オアシスが「アルパイン株を買い取る」というのはあくまでもブラフだとみられている。「株式交換方式ではなくTOBによる買収に切り替えて、価格を1株2400円以上に引き上げろ」と迫ったというのが実情だ。アルパインは18年12月中旬に臨時株主総会を開き、株主の3分の2以上の賛成が得られればアルプス電気の完全子会社になる。

 アルパインの17年3月末時点の外国人株主は37.39%。「1株2400円以上でのTOBに切り替えなければ、臨時株主総会で完全子会社案を否決する」と、オアシスが揺さぶりをかけたのである。

BusinessJournal編集部

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