絶対に税務署から逃れられない!「印紙」の恐ろしい話…うっかり貼り忘れで多額追徴課税!
元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きな書類は「不動産の売買契約書」です。
契約書などを作成したときに貼付する「印紙」。貼付して消印することで印紙税の納付が完了します。法人税や所得税に比べるとマイナーな税なのでルールが認知されておらず、単純な貼付漏れも散見されます。不動産業では、印紙税の納付義務がある文書の作成が頻繁に行われるので、税負担を忌避して恣意的に印紙を貼付しない事案もあります。印紙税も国税なので、そういった納税者に対し、国税局の調査官が税務調査を行い、指導・賦課しています。
印紙税の納付は通常、作成した課税文書に所定の額面の収入印紙を貼り付け、押印または署名で消印することによって行います。
また、印紙税は、課税文書を作成した時に納税義務が成立し、その作成者が納税義務を負うことになります。「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのではなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することをいいます。
不動産の貸付を行う法人に税務調査があったときのことです。この法人は、売買により不動産を取得し、賃貸していました。不動産の売買契約書を作成すると印紙税の納付を行わなければいけません。印紙税の調査というのは、印紙税の課税文書の作成が行われない業種に対しては実施することが難しいのですが、不動産業の場合、公園の大きな石をひっくり返すと出てくる虫のごとく、わらわらと課税文書が出てくるので調査は容易です。
課税文書とは、次の3つのすべてに当てはまる文書です。
(1)印紙税法別表第一に掲げられている20種類の文書。
(2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書。
(3)非課税文書でないこと。
調査官は、調査に着手してすぐに不動産の売買契約書が綴られたファイルを確認しました。この法人が購入した土地に関する売買契約書が多数ありましたが、印紙の貼付がほとんどありません。代表者に確認すると「契約書は売主が作成したもので、印紙を貼っていないのは売主が忘れたのだと思う」とのことでした。確かに、契約書をパソコンでつくって出力したのは売主かもしれません。しかし、契約書には売主、買主双方が署名捺印を行うのが通常です。それをもって「作成」とされるので、買主も書類の「作成者」に該当します。