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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

企業広告、テレビCMから人気ユーチューバーへシフトか…大金が支払われる理由

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季
企業広告、テレビCMから人気ユーチューバーへシフトか…大金が支払われる理由の画像1「Thinkstock」より

 いまやすっかり一般にも認知された“ユーチューバー(Youtuber)”。将来の夢に、この職業を挙げる子供も少なくないが、その理由は、「楽しそう」「有名になれる」といったもののほかに、「楽して大金を稼げる」というイメージが強いこともあるだろう。

 ユーチューバーの2017年の市場規模は219億円で、前年比の約2.2倍(CA Young Lab調べ)。今後もますますの成長が見込まれ、市場規模が大きくなればユーチューバーの広告収入もさらに上昇するだろう。

 現時点でも売れっ子ユーチューバーともなればその年収は数億円ともいわれるが、そもそもなぜこれだけの大金が一個人相手に支払われるのかは素朴な疑問だ。そこで、立教大学経営学部教授の有馬賢治氏にマーケティングの観点からユーチューバーと広告市場について解説してもらった。

コスパがいいユーチューバーへの広告

「昨今、若者の間で“テレビ離れ”“雑誌離れ”が叫ばれていますが、テレビCMや雑誌広告の効果自体が疑問視されるようにもなってきています。そういった状況ですので、多くの若者が触れる機会のあるYoutubeでの広告に価値を見いだす企業が多くなっているのです」(有馬氏)

 最近では、国民的アニメ『サザエさん』(フジテレビ系)のスポンサーを48年間務めた東芝が、今年3月で降板することが話題になった。大企業といえども、テレビCMでの広告費を見直さざるを得ない時代背景だという証拠だ。とはいっても、ユーチューバーへ支払う広告費も決して安くはないはず。ひとりのユーチューバーに大金を支払うことが企業にとって、果たしてどの程度プラスになるのだろうか。

「ゴールデンタイムに地上波で1クール(13週)テレビCMをオンエアーするとなると、その広告費は一般的に数億円が必要です。これは、CMが見られても見られなくても発生するコストです。一方、ユーチューバーに対して支払う広告料はまだそこまで高騰はしていません。人気ユーチューバーのチャンネル登録者数が何十万、何百万単位であり、それに対する広告費の支払いがCMの視聴回数やクリック回数に応じたシステムであることは、企業にとってはむしろコスパがいいメディアだと認識されているのでしょう」(同)

 YoutubeのようにCMを流したりバナーを表示させたりするわけではないが、ネット上で広告収入を得られるメディアの代表例として、Instagramがある。アパレル企業などから自社商品を売り込むことを依頼され、フォロワーの興味が湧く画像をアップすることで対価として企業から報酬を得る人たちのことを“インスタグラマー(instagramer)”と呼ぶ。人気インスタグラマーともなれば、収入面は人気ユーチューバーに引けを取らない。

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