2025年、AI(人工知能)市場は16年比で43倍に拡大すると予想されている。現在ヒトが行っている仕事をAIやロボットが代替し、10~20年後には日本の労働人口の49%に相当する職業で代替が可能になるという。
格安旅行会社、エイチ・アイ・エス(HIS)グループは2月1日、ロボットがコーヒーをつくる「変なカフェ」第1号店をJR渋谷駅に近い商業施設「渋谷モディ」地下1階のHIS渋谷本店内に開いた。
米リシンク・ロボティクス社のソーヤと、同時に5杯のコーヒーを淹れられる米国製バリスタマシン・ポアステディを導入。多関節型の単腕を持つソーヤがカップや削ったコーヒー豆などを移動させ、カップの洗浄も行い、本格ドリップコーヒー(230ミリリットル、320円)など7種類を提供する。
同規模のカフェは通常2~3人で運営するが、変なカフェは豆の補充や不具合に対応する1人が待機するだけ。人件費を抑えることができるというのが売りだ。
変なカフェは、ロボットが働く「変なホテル」のノウハウを生かしている。変なホテルは15年7月、グループの長崎県佐世保市のレジャー施設ハウステンボスで開業。「世界初のロボットが働くホテル」としてギネス世界記録に認定された。
またHISは2月1日、「変なホテル東京 銀座」をオープンした。中央区築地の東京メトロ有楽町線新富町駅から徒歩2分の場所にある。初めての銀座エリアへの進出で、ビジネス客だけではなく訪日観光客の利用を見込んでいる。10階建て全98室のうち61室は1人部屋。宿泊料金は1室7000円からとなっている。
銀座という土地柄を考え、女性の人型ロボット2体がフロントに配置されている。床清掃や窓拭き、空気清浄用のロボットなど14体を導入。同規模のホテルと比べると、4分の1程度の計7人が交代で運営する。
HISはホテル子会社、HISホテルホールディングスを通じて、変なホテルの進出攻勢をかけている。銀座は5カ所目で、東京都内では江戸川区の「変なホテル東京 西葛西」に次いで2カ所目。今後、新たに8カ所でオープンする予定だ。うち東京では浜松町、赤坂などで4つのホテルを立ち上げるという。
HIS会長兼社長でハウステンボス社長を務める澤田秀雄氏は今年3月から、たった1人で3カ月から半年間の海外旅行に出る。ビジネスの着想を得るためだ。上場会社のトップが長期間にわたって一人旅をするのは極めて異例。帰国後、どんなアイデアが飛び出すか楽しみである。