主要市場で日本株の下落率が突出している。3月の下落率は6.6%と世界主要25市場で最大だ。“貿易戦争”の震源地といえる米国、中国市場を上回る。米中の景気の失速、円高ドル安の懸念、2019年3月期の主要企業の業績の下振れ観測が、トリプルの重石となっている。
3月23日の東京株式市場は、再び大荒れの展開となった。日経平均は一時、前日比1032円安の2万559円まで下げた。取引時間中に下落幅が1000円を超えたのは2月6日の1万710円安以来。「貿易戦争」のリスクがもろに顕在化し、ドル・円相場も節目である1ドル=105円を突破し、104円台まで上昇した。
これまでの歴史が証明しているが、一国の保護主義が報復合戦を呼び起こし、“貿易戦争”になれば勝者なき消耗戦となる。
理解不能、予測困難なドナルド・トランプ米大統領と、“終身国家主席”への道を進み、国内一強となった習近平中国国家主席がガチンコ勝負になれば、被害は地球規模で拡大しかねない。
日経平均株価は16年6月の安値(1万4864円)をボトムとする長期上昇トレンドに乗り、18年1月には2万4129円まで駆け上がった。その後、調整局面に入り、当面の下値抵抗線といわれている1万9239円に接近してきた。
株式市場は大きな転換点を迎えている。近年の株高は円安と超低金利に支えられてきた側面が強い。日米の政権が安定していたことも株高を支えてきたが、「先進国で最強とうたわれた安倍政権が、今や最弱の状態になった」(外資系証券会社のストラジスト)ことが、ボディーブローのように効いてきた。強気な証券アナリストの中からも「日経平均2万円割れは十分ある」との声が出始めている。
米国マーケットに目を転じると、“貿易戦争”だけでなく、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げの動きがニューヨーク(NY)の株安を招いている。NYではリスク回避の動きがさらに強まる可能性が高い。
トランプ大統領の政策の方向性が変わらない限り、NY株安、ドル安の流れは収まらないだろう。3月23日のNY株式市場でダウ平均株価(30種)が今年の最安値を更新。ダウ平均を構成するほぼすべての銘柄が下落した。週間(3月19~23日)の下げ幅は1413ドルで、リーマン・ショック後の08年10月以来の大きな下落幅となった。
為替も今年上半期(6月末まで)に1ドル=100円を割り込む展開もあり得る。東京市場は「2万円を割り込むと、国内の機関投資家の見切り売りが加速する」といった悲観論も台頭している。
株式評論家の山本伸氏は株式専門紙「株式新聞」(3月26日付)の連載コラムで、「森友学園問題の長期化を前提とした投資戦略を考えるべきだ」と語っている。
「個人的には、無理を通して安倍政権を継続させるより、石破茂政権誕生になった方が株式市場にはプラスに働くとみている」と、かなり踏み込み、「来期(2019年3月期)の業績予想は減益予想が激増すると考えておくのが無難だ」と締めくくっている。