期末の円高で来期の業績に赤信号が灯る
1ドル=104円半ば(3月23日)は1年4カ月ぶりの円高である。17年末には同112円だったから、3カ月で8円も円高が進んだ計算だ。
トヨタ自動車は、対ドルで1円円高になると営業利益が400億円目減りする。本田技研工業(ホンダ)は1円円高で同120億円減少する。
在米のアナリストの間では、「トランプ大統領が、日本企業の最終ターゲットにしているのは自動車」との見方で一致している。
トランプ大統領との蜜月ぶりをアピールしてきた安倍首相や世耕弘成・経済産業相は、鉄鋼・アルミ関税の適用除外を勝ち取れなかった。EU(欧州連合)や韓国は、しっかり適用除外になっているのにもかかわらずだ。
9月の米中間選挙が迫っている。さらに苦戦が強まれば、狙うのは日本(市場)だ。米国受けする自動車に照準を絞り込むかもしれない。
こんな見方もできるという。日経平均株価がPBR(株価純資産倍率)1倍まで下がると仮定すると1万8000円。13年後半から14年は1万5000円近辺だったので最悪、このラインまで下げる覚悟が必要かもしれない。
つい最近まで安倍内閣を「先進国で最強の政権」などと書いていた“親安倍”の全国紙もあり、年初には「安倍一強、日経平均株価は年内に2万5000円に向かう」といった論調が目立った。ところが、森友文書改竄の大波をモロにくらって安倍内閣は、一転、先進国で最弱の政権となってしまった。
事の重大さを考えれば、麻生太郎財務相は即刻辞任すべきで、安倍内閣総辞職があっても不思議はないのだが、6月まではなんとか踏ん張るとの見方が大勢を占めている。内閣支持率がどこまで下がるかが焦点だ。30%割れが視野に入り、20%台のどのあたりで止まるかが重要なポイントになる。
昨年7月、安倍首相は支持率低下に対して解散総選挙という危ないカードを切ってみせた。背景には野党のていたらく、労働連合がきちんと労働組合として機能しなかったことがある。しかし、もう解散総選挙のカードは切れない。永田町では、「6月解散説」を流して野党の攻勢をかわそうとする動きも出始めたが、1年前の支持率低下とはバックグランドが基本的に異なる。
4月の訪米、5月の訪ロは実現できるのか。自民党内で「安倍おろし」がどこまで広がるかにかかっている。外交で反転攻勢できるとの見方がある一方で、それが甘すぎるとの意見も多い。