ソフトバンクグループ(G)傘下の米携帯電話第4位のスプリントと同3位のTモバイルUSが2019年をメドに合併することで合意したと発表したが、株式市場では評価が分かれている。
TモバイルUSは米国時間4月29日、スプリントを株式交換により265億ドル(約2兆9000億円)で買収すると発表した。新会社の持ち株比率はTモバイルUSの親会社ドイツテレコムが41.7%、スプリントの親会社ソフトバンクGは27.4%となる。
新会社の社名はTモバイルUSで、ドイツテレコムの連結決算の対象となる。ソフトバンクGは持ち分法適用会社とする。一方、スプリントはソフトバンクGの連結子会社から外れる。ソフトバンクGはスプリント株式の84.7%を保有していたが、新会社の持ち株比率が27.4%に下がるためだ。
Tモバイルのジョン・レジャー最高経営責任者(CEO)が新会社のCEOを務め、Tモバイルが9人、スプリントが4人の取締役を指名する。スプリント側からはマルセロ・クラウレCEOとソフトバンクGの孫正義社長が取締役に就く予定だ。
合併により新会社の契約者数は1億2600万人となる。首位、ベライゾン・コミュニケーションズ(1億5000万人)、AT&T(1億4000万人)に迫る。
5月1日の東京株式市場。ソフトバンクG株は安く始まったが、一時前週末比2.4%高の8705円まで上昇、0.7%高の8557円で取引を終えた。売買代金は東証1部で2位の860億円に膨らんだ。だが、2日は軟調に推移し、終値は前日比67円(0.7%)安の8490円だった。安値は8445円。
ソフトバンクGの株価の推移は、投資家の気迷いを映し出している。
他方、4月30日の米国株式市場。前日に経営統合を発表した米携帯電話大手2社の株価が急落した。スプリント株は前週末比14%安、TモバイルUSは同6%安と、ともに大幅に下げた。
経営統合は、米携帯電話市場の上位4社のうちの2社が対象となるため、米規制当局が審査し、可否を判断する。
当局が合併を認める確率についてUBS証券のアナリストは「五分五分」、RBCキャピタル・マーケッツは「50%未満」、野村ホールディングスグループの米インスティネットの米国通信株アナリストは「25%」との見解を示している。厳しい見方が少なくない。