著:生田洋介/日経BP社
新卒社員、若手社員を一人前に育てる上で問われるのは、彼らをマネジメントする上司の力量です。
ただ、「名選手、名監督にあらず」という言葉があるように、プレイヤー時代にいかに優秀だったとしても、その能力がそのまま上司として生きるわけではありません。
『指導しなくても部下が伸びる!』(生田洋介/著、日経BP社/刊)は、部下を自力で成長させるために、上司としてすべきことがつづられた一冊。
今回はそんな本書から「部下を育てられない上司」「部下をダメにしてしまう上司」の特徴を挙げてみます。
■部下を自分の成功体験に縛りつける
プレイヤー時代に大きな実績がある人ほど、上司になると過去に成功した自分のやり方を元に、部下を「型」にはめてしまいがちです。このタイプの上司は部下の意見を頭ごなしに否定したり、非難するのが特徴。これでは部下は自分の意見を言いにくくなってしまい、意見を言わなくなることは思考の停止にもつながってしまいます。
もちろん部下の意見を全て受け入れるのがいいということではありません。しかし、人それぞれ個性があり、意見も違うものだということを認め、部下が意見を出したことに率直に感謝する姿勢が、「部下を育てられる上司」には必要だといえます。
■部下とは仕事の話しかしない
部下といい関係が築けているかどうかは、彼らの成長に大きく関わります。いい関係を築けていれば、自然と周りから学ぼうとするものですし、反対に関係が悪ければそのエネルギーは失われてしまうでしょう。
彼らといい関係を作るためには「挨拶」と「雑談」が不可欠。挨拶というと目下の人からすべきという先入観があるかもしれませんが、上司から積極的に働きかけることが大切です。
そして雑談。著者の生田さんは、できれば毎日3分、部下と話すことを勧めています。これも話しかけられるのを待つのではなく、自分から部下のところに行って話しかけるのがポイントです。ただし、くれぐれも「上司はヒマなんだ」「邪魔しに来たのかな」などと思われないよう、話しかけるタイミングと話の切り時には注意しましょう。
■上司が会社への不満を口に出す
部下を育てるためには、上司自身が会社と目標や方向性を共有して、それに本気で取り組んでいる必要があります。
ありがちなのが、「上からの話なんて、とりあえずハイハイって聞いたフリしておけよ」「会社の方針なんて、またすぐ変わるんだから、いちいち真剣に聞かなくていいんだよ」などという上司のセリフ。上に立つ人間がこれでは、部下だって与えられた目標に真剣に取り組めるはずがありません。
上司が真剣さを見せないことには部下の成長もないということは、人の上に立つ人間として心にとめておくべきです。
今回は日常業務を中心に、自力で成長していける部下を育てるために必要なことを取り上げましたが、本書には「会議」「面談」「飲み会」など、各場面ごとの上司のふるまい方が解説されています。
マネジメントの方法は人によって異なるものです。しかし、もし若手社員や部下の扱いに悩んでいるなら、本書は解決へのヒントを与えてくれるはずです。
(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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