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40年ぶりの山手線新駅建設、地域再開発と一体で巨大経済効果、企業が受注狙い活発化

文=編集部
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40年ぶりの山手線新駅建設、地域再開発と一体で巨大経済効果、企業が受注狙い活発化の画像1山手線の車両(「Wikipedia」より/LERK)
 JR東日本は6月3日、山手線の品川-田町駅間(東京都港区)に30駅目となる駅を新設すると発表。山手線としては40年ぶりの新駅は、2020年の東京五輪・パラリンピックに合わせて暫定開業する予定で、駅名は公募するかどうかを含めて検討するという。同区間は2.2キロメートルと山手線で最も長く、新駅は田町駅の南1.3キロ、品川駅の北0.9キロの位置に建設される。着工に当たっては山手線と京浜東北線の線路を東側に移設する。

 京浜東北線も新駅に停車する予定だが、都営浅草線泉岳寺駅とは300メートルしか離れていないため、新駅から泉岳寺駅にかけては人が移動できるように「何らかのかたちで連絡設備の開設を考えたい」(JR東日本の冨田哲郎社長)としており、アクセスの向上が期待される。

 新駅舎は2階建てで、1階にホームやバスターミナル、2階に改札などコンコースが設けられる。駅前には広場がつくられ、五輪を大勢で観戦するパブリックビューイングができるような施設も完備される。駅や広場の上部は大屋根で囲い、吹き抜けから街の景観が見えるようにする。ちなみに新駅の用地としてJR東日本の車両基地が充てられる。

 今回の新駅設置は地域の再開発とセットに計画が進められており、それだけに今後、数多くの企業が関与するチャンスを得ることになる。品川-田町駅間の該当する地域は東京・港区であり、交通の利便性向上、建設工事のラッシュ、人間の増加、地価の上昇がまず考えられる。JR東日本の冨田社長は3日の記者会見で「品川にはリニア中央新幹線の始発駅ができる予定もある。羽田空港も近い。一体となって新しい東京の玄関口を目指したい」と述べた。

 JR東日本は車両基地の整理・縮小を進めている。それによって確保する13ヘクタールのほか、泉岳寺駅などを含めて周辺エリア一帯の再開発計画を策定する。東京都や港区のほか、周辺に駅やホテルを持つ京浜急行電鉄、西武グループなどとも連携して計画をまとめ、15年度中に都市計画決定を目指す。

ゼネコン各社にビジネスチャンス

 港区に本社を置く上場企業は300社を超え、品川-田町駅間の路線の西側、高輪に本社のある会社は12社に上る。東証1部では京浜急行電鉄、小糸製作所、日本トムソン、ジャステックなど。一方、路線の東側、芝浦に本社があるのは東芝、清水建設、コスモ石油、兼松、日立金属、SUMCO、横河ブリッジホールディングスなど21社。同じく東側の港南に本社のある企業はソニー、三菱重工業、大林組、東燃ゼネラル石油、日立工機、大東建託など27社を数える。

 新駅予定地に隣接して旧安藤建設の本社があった安藤ハザマはJR東日本との関係は薄いが、「駅周辺の再開発のお手伝いはぜひやりたい」(同社関係者)と意気を上げている。また、路線と隣接地区の大林組、清水建設は新駅関連のプロジェクトチームをつくるとみられている。JR東日本が筆頭株主で鉄道建設に強みを発揮する鉄建建設にとっても、ビジネスチャンスは大きそうだ。同社が10.1%出資する東鉄工業も有望だ。

 また、保有不動産の観点からみると、品川駅を地盤とする京浜急行に大きなメリットがありそうだ。民間企業以外としては、東京都が品川車両基地に隣接する芝浦水再生センターのリニューアルを打ち出しており、このプロジェクトには大成建設、NTT都市開発、ヒューリックが参加している。

関連企業株価にも影響

 新駅建設が発表された翌日の東京株式市場では、大成建設、大林組、清水建設、鹿島といったスーパーゼネコン4社が年初来の高値をつけ、安藤ハザマ、東鉄工業も年初来の高値となった。

 このほかの山手線新駅関連銘柄として、ベストブライダル(7月からツカダグローバルホールディングスに社名を変更)は今年1月、品川駅前の「ストリングスホテル東京インターコンチネンタルホテル」を買収した。

 また、京浜急行は保有する不動産の床面積の3割に相当する10棟分の物件を品川駅西口に保有している。西武ホールディングスは、その京急と株式を持ち合い。高輪・品川地区の約12万8000平方メートルの土地に、4棟の大型ホテルを展開している。

 今後、新駅建設の恩恵を被ることを狙い、早くも関連企業の動きが活発化しつつある。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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