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アップル、デジカメ販売も?カメラのピント・リフォーカス技術で特許取得

文=一条真人/フリーライター
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 カメラでは「ボケ味が美しい」「ちょっとピントがずれている」など、フォーカス(ピント、焦点)が問題になることが多い。何しろ、ピントが合えばよいというのではなく、美しいボケが求められたりするのだから難しい。特にカメラに精通していない人でも、撮影した写真を見返して「ピントがちょっと甘かった」などと悔やんだことがあるはずだ。

 現代のカメラは通常、オートフォーカス機能で自動調節されるとはいえ、うまくピントが合わないことも少なくない。また、「ここにピントが合っていてほしかった」ということもあるだろう。

 そんな問題を解決してくれる夢のような「リフォーカス」機能を搭載するカメラが、今では現実に存在している。このリフォーカスというのは、一度撮影した画像のピントを調節できる機能だ。

リフォーカス機能を搭載したLytroのデジカメ

 2011年、撮影した写真のピントを自由な箇所に変更できる「リフォーカス」機能を搭載したカメラの登場が話題になった。それがLytro(ライトロ)社のLytroカメラだ。これはライトフィールド(光照射野)カメラと呼ばれ、光照射野センサーによってあらゆる光情報を取り込み、記録する技術だ。ちなみにこのLytro社は、スタンフォード大学のOBによるベンチャー企業だ。Lytroカメラは極端に高価ではなく、現在、アマゾンでは3万5000円ほどで購入できる。

アップル、デジカメ販売も?カメラのピント・リフォーカス技術で特許取得の画像1普通のカメラと異なり、細長い形状のLytroカメラ。

 Lytroカメラは、普通のデジカメとは異なる筒状の細長い形状で、背面にタッチ操作対応の液晶ディスプレイを搭載しており、必要に応じてフォーカスを調節できるようになっている。このカメラが筒状に長いのは、リフォーカス可能な、つまりは普通のカメラよりも多くの光情報を集めるために通常のカメラよりも多くのレンズを搭載しているということも理由の1つだ。

アップル、デジカメ販売も?カメラのピント・リフォーカス技術で特許取得の画像2Lytroの内部。レンズが大きなスペースを占めているのがわかる。

 このカメラで撮影した画像はLight Field Picture File形式(.lfp)となり、パソコンなどで見ても必要に応じてフォーカスポイントを変えることができる。Lytro社の画像サンプルページで、興味のある方は試していただきたい。目的の画像を表示させ、適当な場所をクリックすれば、そこにフォーカスが合うのがわかるだろう。

アップル、デジカメ販売も?カメラのピント・リフォーカス技術で特許取得の画像3Lytroサイトギャラリーページ。
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アップル、デジカメ販売も?カメラのピント・リフォーカス技術で特許取得の画像5Lytroギャラリーのサンプル画像で、フォーカスポイントを変えてみた例。上の写真は奥、下の写真は手前にピントが合っているのがわかるだろうか?

アップルがリフォーカス機能のパテントを取得

 夢のような技術と騒がれたLytroカメラだが、実際に撮影してみると、かなり解像度の低い写真となり、通常の写真撮影には向かない。そのため、購入したユーザーからは苦情が殺到し、Lytro社では昨年、手元でシャッタースピードや露出を変更できる機能を付け加えるアップデートなどで対応している。

 そんな中、11月26日にアメリカ特許商標局が公開した特許公報によれば、アップルがリフォーカス機構の特許を取得したという。

 このアップルの特許では、1つのカメラで低解像度なLFP形式の画像と高解像度な普通のデジカメ画像を撮影できるようになっている点が特徴だ。

 アップルが特許を取得したということは、この技術を使って、デジカメをつくるか、Macに搭載するか、iPhone/iPadに搭載するということになると考えられるが、やはり、ここはiPhoneに搭載して、ほかのスマートフォンに差をつけてほしい。

 しかし、Lytroカメラが細長い形をしているのと同様、アップルの技術もかなり厚みがあるのが現状だ。この技術を薄いiPhoneに組み込むには、かなりの時間がかかりそうだ。そのため、来年あたりに発売されると見込まれるiPhone 6などは現実的ではなく、搭載されるのは数世代先となるだろう。

アップル、デジカメ販売も?カメラのピント・リフォーカス技術で特許取得の画像6現在のような薄いiPhoneにリフォーカス機構を組み込むのは、なかなか難しそう。

 当面は、リフォーカスのデジカメ単体をアップルが発売するか、Macになんらかの形で搭載されると考えるのが自然だろう。

 生前、ジョブズ氏はよく「教科書とテレビとカメラを改革したい」と言っていたので、デジカメ単体の製品をリリースしてもおかしくない。

 いずれにせよ、この特許によって今後のアップル製品に対する期待と注目度が上がったのは間違いない。
(文=一条真人/フリーライター)

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