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ドコモ、3位転落を招いた独善的利益重視と非常識 中核ユーザの他社流出が深刻化

文=福井晋/フリーライター
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●販売現場に異変

 新料金プラン導入後、スマホの通話利用が多いユーザは競うように新料金プランに移行した。導入前の予約段階で新料金プラン契約数は208万件に達し、7月5日には500万件を突破、10月14日に1000万件を突破した。一方、データ通信利用の多いユーザは実質値上げになるためソッポを向いた。

 結局、通話利用の多いユーザ分の減収・減益が先行し、「iPhoneがなかったために他社へ流出したユーザを取り戻す」(加藤社長)という目論見も外れた。前出関係者は「新料金プラン導入開始直後から、販売現場では『データ通信中心のスマホ中核ユーザは説明を聞くとカウンターを離れ、他社へ流れてゆく』『スマホ中核ユーザを相手に新料金プランでは他社と戦えない』などの不満が渦巻いていた」と振り返る。

 実はこの動きを決定づける事態が、9月から起きていた。

 9月最初の週末、東京都内のあるドコモショップは、隣接する他社ショップの賑やかさと対照的に終日閑散としていた。

 ドコモは8月31日付で旧料金プランを実質廃止、料金メニューを新料金プランに1本化した。このため、9月1日からドコモ契約者がスマホを機種変更する場合は、新料金プランに加入しなければ、端末購入料の一部を通信料から割り引く「月々サポート」を受けられなくなった。旧料金プランのままで機種変更する場合は月々サポートを受けられないので、「実質ゼロ円で購入できた端末が4万円以上の有料になった」(家電量販店関係者)のだ。その結果、「9月以降、機種変更をするスマホ中核ユーザの他社流出が加速した」(前出関係者)という。

 通信業界では、キャリアが新料金プランを導入しても、旧料金プランの契約者は解約しない限り機種変更後も旧料金プランを利用できるのが通例。ユーザの選択を尊重しているからだ。通信業界担当の証券アナリストは「こうした業界の常識に反してまで旧料金プランを実質廃止したのは、自社契約者を1日も早く新料金プランに移行させようとした焦りの現れ。この焦りが1200億円の減益を生み出した」と指摘する。

●「利益重視への戦略転換」の落とし穴

 新料金プラン導入の目的は「契約数重視から利益重視への戦略転換」(ドコモ関係者)にあった。ところが「10月末現在で旧料金プランから新料金プランへ移行した契約者の約60%が40代以上」(同)。つまり、音声通話料の高いユーザが早々と新料金プランへ移行してその恩恵にあずかる反面、ドコモは音声通話収入を減らしたことになる。業界関係者は「40代以上のユーザは業界で『ガラケー世代』と呼ばれ、携帯電話で長話をするのが特徴。一方、20~30代ユーザは『スマホ世代』と呼ばれ、電子メールでコミュニケーションし、アプリで利便性を満喫しているのが特徴」と解説する。

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