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航空経営研究所「航空業界の“眺め”」

世界的に超異質…なぜ国内航空線でも大型機?羽田の制約、やっかいな整備・CA問題

文=稲垣秀夫/航空経営研究所主席研究員
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大型機を短距離路線に投入しているのは日本だけ

「シングルアイル機」(以下、小型機)とは、1本通路、横6列席のジェット旅客機のことを指し、現在、新規就航している航空機ではエアバスA320とボーイング737の2機種がこれに該当する。

 永らく国内線の主要路線にジャンボ機が就航していた。テレビにしばしば映るその映像から、日本人の多くが国内線にジャンボが飛ぶことを違和感なく受け止めてきただろう。ジャンボが退役した今でも大型機(ツインアイル)のボーイング777が国内線で飛んでいる。その理由は、羽田空港の発着容量が足りないためである。

 不思議なことに現在、欧米でこうした大型機の使い方をしている例はおそらくない。ロンドン-パリ間やボストン-ニューヨーク間など旅客需要が多く混雑した空港を使っていても、飛行時間が短い路線にはA320や737などの小型機が便数を増やして飛んでいる。

大型機と小型機はどう使い分けるのがよいのか

 欧米で短距離路線に小型機の運航が定着した確たる理由を筆者は知らない。小型のジェット旅客機については、第2次世界大戦直後の民間航空黎明期に、短距離路線を席巻していたプロペラ機の代替として登場した。小型のジェット機は、ジェット機が短距離飛行に求められる高高度までの急速上昇と、急速降下の工夫を重ねて生まれた。ボーイング社製造の旅客機でいえば、727と737がこれに該当する。高高度は気流が安定していて乗り心地がよいこと、プロペラ機時代に比べて大幅に所要時間を短縮したため、市場からあっという間にプロペラ機を駆逐してしまった。

 一方、大型のジェット旅客機については、より遠くの都市まで無着陸で飛行するという小型機とは異なるゴールを目指して発達してきた。デザイン上、機体は大型であるほど長時間飛行が可能な容量の大きな燃料タンクを装備することが可能である。

 大型機と小型機の使い分けについては、長距離運航は大型機に限定されるが、短距離運航は小型機だけでなく、足回りを強化すれば大型機も就航することができる。

 近距離に大型機を投入しないのには別の理由がある。航空会社は路線距離によって客室の仕様を変えなければならない。航続距離が長くなると、旅客の疲労を防ぐためにシートピッチを広げる必要があるし、機内食のサービスが増えるためギャレー(厨房)も大きな装備が必要になり、乗務員の勤務が長時間になると休憩設備も必要になる。厳密には、短距離、中長距離、超長距離路線より機内仕様は変わる。

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