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永井孝尚「企業の現場で使えるビジネス戦略講座」

なぜあの製品は、標準の1.4倍の価格でもヒットしたのか?価格競争から脱出する方法

文=永井孝尚/ウォンツアンドバリュー永井代表
なぜあの製品は、標準の1.4倍の価格でもヒットしたのか?価格競争から脱出する方法の画像1「Thinkstock」より

 本連載では一貫して「顧客が買う理由を考え抜こう」ということを提唱している。筆者は講演でもさまざまな事例を紹介しながらこのテーマについて話をしているが、講演後の質疑応答や懇親会で、次のようなご意見をいただくことがよくある。

「『価格勝負から抜け出して、価値を創り出し、価値勝負にしよう』という話はとても共感します。しかし値引きの要請がとても強く、価格勝負からどうしても抜け出せないのが現実なのです」
 
 そこで筆者は、こんな質問をしてみる。

「御社の商品の品質や価値は、他社と比べてそんなに変わらないのでしょうか?」

 すると、次のような答えが多いのだ。

なぜあの製品は、標準の1.4倍の価格でもヒットしたのか?価格競争から脱出する方法の画像2『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』(永井孝尚/KADOKAWA/中経出版)

「当社の商品は、他社と比べてまったく違います。絶対の自信があります」

 詳しく話をお伺いすると、ありがちな「製品中心」の考え方には陥ってはおらず、実際に消費者からの評価も高いようだ。

 では、なぜ価格勝負に陥ってしまうのか。

 この会社では、営業担当者の日常業務が、問屋や卸先メーカーといった取引先に会うことに忙殺されている。そして取引先の向こう側にいる最終消費者に会えていないのだ。言い換えれば、営業が最終消費者のリアルな声を把握できていない。

 そのような状況で営業担当者が取引先担当者に「当社の製品は高い品質で、消費者からも支持いただいています」と言っても、十分な説得力がないのは明らかだ。そして取引先から、「ところで、これだけの量を買いますので値引きをよろしくお願いします」という価格交渉に陥ってしまう。

 では、どうすればいいのか。

 まず理解すべき点は、顧客には2種類いるということだ。「仲介者」と「最終消費者」だ。「仲介者」の代表例は問屋などの取引先。一方の「最終消費者」は「ユーザー」と言い換えてもよい。実際に商品の価値を提供する先は最終消費者なので、ビジネスではリアルな最終消費者のことを理解し、彼らが何を必要としているのかを学び続け、「是非欲しい」と常に支持されるような商品を育てることが必要なのだ。

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

 マーケティング戦略アドバイザー。1984年に慶應義塾大学工学部を卒業後、日本IBMに入社。マーケティングマネージャーとして事業戦略策定と実施を担当、さらに人材育成責任者として人材育成戦略策定と実施を担当し、同社ソフトウェア事業の成長を支える。2013年に日本IBMを退社して独立。マーケティング思考を日本に根付かせることを目的に、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表取締役に就任。専門用語を使わずにわかりやすい言葉でマーケティングの本質を伝えることをモットーとし、幅広い企業や団体へ年間数十件の講演やワークショップ研修を実施。さらに書籍・雑誌の執筆、メディア出演などで、より多くの人たちにマーケティングの面白さを伝え続けている。主な著書に、シリーズ累計60万部を突破した『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズ(全3巻、コミック版全3巻、図解版、文庫版)、『そうだ、星を売ろう』、『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』、『残業3時間を朝30分で片づける仕事術』(以上KADOKAWA)、『「戦略力」が身につく方法』(PHPビジネス新書)がある。最新著は『これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング』(SB新書)

・問い合わせ先:永井孝尚オフィシャルサイト

Twitter:@takahisanagai

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