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高橋潤一郎「電機業界の深層から学ぶビジネス戦略」

ヤバすぎる中国進出リスク!優良企業が一転、債務超過で経営破綻 中国人社長が不正

文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役
ヤバすぎる中国進出リスク!優良企業が一転、債務超過で経営破綻 中国人社長が不正の画像1江守グループホールディングスのHPより

 やはり「チャイナリスク」は存在する。それにはさまざまなかたちがあり、現地の反日感情、賃金の急上昇もあるが、不適切な会計処理もまたそのひとつだ。習近平国家主席は汚職一掃に取り組んでいるが、それは汚職が蔓延していることの裏返しでもある。

 化学品・電子材料等の販売を行う事業会社、江守商事を中核とする江守グループホールディングス(GHD)は、中国ビジネスによるトラブルで経営状況が悪化していた中、4月30日付で民事再生法適用の申請に追い込まれた。中国現地子会社の粉飾決算が原因である。

 江守GHDはもともと成長路線に乗った安定企業だった。2010年3月期に657億円だった売上高は毎年伸びて14年3月期には2089億円になり、最終利益も18億円から54億円に拡大、安定成長が続いていた。しかし16年3月期からはその売り上げのうち実に8割近くが一気に失われる可能性が強まっていた。15年3月期末では巨額欠損となり債務超過へ一気に転落、優良企業が一転して企業存続をかけた戦いに挑む事態に追い込まれていた。

ヤバすぎる中国進出リスク!優良企業が一転、債務超過で経営破綻 中国人社長が不正の画像2

 落とし穴は早い段階からあった。それは、江守GHDの急成長を支える中国販売だ。中国子会社の大口顧客との取引が近年増加している一方で、滞留売掛債権についても増加していたのだ。つまり売上高の拡大が見かけ上のもので架空のものだった可能性があったわけで、これが坂を転がり落ちるきっかけとなった。もっとも、売上高が架空であったのならば、坂は最初から上っていなかったという言い方もできる。

 具体的には、滞留する未収入の売掛債権を調査した結果、江守GHDは中国子会社における総経理(社長に相当)が、その親族が経営していると思われる会社と中国子会社との間で取引を行わせていたことをつかみ、これを明らかにした。

 このため江守GHDは、まず15年3月期の第3四半期において、貸倒引当金462億500万円を特別損失として計上した。これにより、439億7600万円の最終損失となり、12月末時点で234億2400万円の巨額債務超過となった。

 当初はそれでも今回の不正取引を一掃した後、リスクの高い中国ビジネスのみを取りやめ、中国の日系ユーザーとのビジネスに限定して中国販売を継続する方向だった。しかし、著しく信用が毀損したことでユーザー離れが進み、結局中国販売そのものから事実上撤退することを余儀なくされた。中国販売はそれでも残すが、日本からの輸出に限定して、中国子会社および営業拠点はほぼ閉鎖する。これにより、地域別で中国セグメントの中国市場販売はゼロとなる。

事実上の中国撤退、そして民事再生法申請へ

 江守GHDは江守商事を通じて、主に中国市場で化学品・電子材料等を販売、中国市場は15年3月期第3四半期で全体売上高の76%を占めていた。日本からの輸出に切り替えて中国市場での販売は継続するため、中国販売そのものがゼロになるわけではないが、継続は一握りとなることが避けられず、全体売上高の約76%がなくなることは避けられない。

高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

業界紙記者を経て2004年に電機業界の情報配信会社、クリアリーフ総研を創業。
雑誌などへの連載も。著書に『エレクトロニクス業界の動向とカラクリがよ~く
わかる本』(秀和システム)、『東芝』(出版文化社、共著)ほか
クリアリーフ総研

Twitter:@clearleafsoken

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