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タクシー運転手の悲惨な実態…1日20時間労働、必死に月50万売り上げても月給25万

文=稲垣浩生/ライター兼タクシードライバー
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 しかし、タクシードライバーは1日の労働時間は20時間以内、そのうち3時間は休憩を取ることが法律で義務付けられており、走行時間の限界は17時間だ(隔日勤務の場合)。これを超えると、「労働時間オーバー」ということで会社から始末書の作成を命じられる。

 つまり、ほとんどの会社は歩合率に「簡単には達しない」ラインを設定しているため、多くのドライバーは「乗客がいない深夜も、必死に走りまくる」ことになるのだ。正直、乗客が少なくなる前に長距離客を乗せて、ノルマをクリアしたい。逆に、長距離客が増える終電前後の“チャンスタイム”でワンメーターの乗客に当たると、テンションはガタ落ちだ。

 それでも、笑顔は絶対に絶やさない。経験上、「ワンメーターの後に、長距離あり」だからだ。それを信じて、ワンメーターであろうが、長距離であろうが、乗客を迎える時は笑顔で「はい、どうぞ!」。行き先を告げられたら「了解しました。○○から△△に向かうルートでよろしいですか?」と、常に丁寧な対応を心がける。

 それが、モチベーションの維持にもつながるからだ。長距離客の期待できるホテルなどで付け待ちをしても、こちらの願いとは裏腹に近距離客であることが多い。

 そのため、「数で稼げ!」とばかりに街中を流しまくるドライバーも多いが、長時間ハンドルを握っていると平衡感覚が失われ、車を降りた時にフラフラしてしまうことも……。そうならないように、休憩は上手に取る必要があり、深夜に備えて事前に寝ておくのも仕事のうちだ。

 ノルマ達成には、「効率の良い走り方」が不可欠。これぞ、タクシードライバーの実情である。笑顔で対応し、空気を読んで話しかけ、気持ちよく乗ってもらおうと心がける運転手には、必ず良い乗客が待っているはずだ。

タクシードライバーが恐れる「指導センター」とは

 タクシーには、それぞれの“縄張り”がある。いわゆる営業区域だ。例えば、東京都内の23区と三鷹市・武蔵野市は「特別区・武三交通圏」と呼ばれ、おそらくタクシーの利用客が日本一多い区域だ。

 乗客も多いがライバルの台数も多く、不景気になると「乗客の奪い合い」のためにセンターラインから強引に左車線に寄せてくるタクシーもいるほどだ。

 ほかにも、神奈川県なら横浜市を中心とした「京浜交通圏」、千葉県なら市川市・船橋市が中心の「京葉交通圏」と、各都市で営業区域が分かれており、乗車地もしくは降車地が「自分の営業区域」であれば、営業できる仕組みになっている。

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