2位から陥落するローソン、CEOとCOOが対立の兆し
流通業界は激変の時代に突入した。今年9月1日には、コンビニエンスストア3位のファミリーマートと同4位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスが経営統合する。2位だったローソンを抜き、最大手のセブン-イレブン・ジャパンに国内店舗数で肉薄する。
2位の座から滑り落ちるローソンが動いた。三菱商事出身の竹増貞信副社長が6月1日付で社長兼最高執行責任者(COO)に就任する。玉塚元一社長は会長兼CEOに就く。ファミマとサークルKサンクスの経営統合は、ファミマの親会社、伊藤忠商事が主導した。ローソンは筆頭株主の竹増・新社長のもとで、三菱商事と一体となって2位奪還を目指すと宣言してトップが交代した。玉塚氏は14年5月にローソンの社長になったばかりだが、2年で会長になる。
ローソンの新体制ではCEOの玉塚氏が主力の国内コンビニ事業を、COOの竹増社長は主に海外や新規事業、M&Aを管掌する。一般的にはCOOが本業を担い、CEOが海外やM&Aを含めたグループ全体を統括するものだが、今回の人事は真逆だ。竹増氏はコンビニ事業にもかかわるから、玉塚氏の役割はかなり狭められる。「玉塚会長兼CEOの任期は最大で2年」(三菱商事首脳)といわれている。はたしてその通りになるのか。CEOとCOOの対立の芽はすでに見えている。
ローソンの店舗数は、国内に1万2395店、一方で海外は758店(2月末)。セブン-イレブンの海外店4万140店、ファミマの5846店に大差をつけられている。ローソンは昨年、フィリピンのスーパー大手ピュアゴールド・プライスクラブと合弁でPGローソンを開業した。現在は20店だが20年までに500店に増やす目標を掲げている。5~10年以内に海外の店舗数を国内以上にしたいというが、現実はかなり厳しい。日本のコンビニは東南アジアに展開しているが、実際にうまくいっている国はほとんどない。最後発のローソンが順調に海外展開できる保証はどこにもない。
ローソンの新体制のミッションは新生ファミマから2位の座を奪還することにある。
一方、ファミマは4月5日、日本郵政グループと金融や郵便・物流など幅広い分野で提携した。この提携の最大のポイントは、ゆうちょ銀行とATM(現金自動預け払い機)事業で提携することだ。ファミマ=サークルKサンクス連合の国内店舗数は1万8006店(2月末現在)。セブン-イレブンのそれは1万8613店(3月末現在)で店舗数では肉薄したが、ATMの設置台数では大きく水を開けられている。セブン-イレブンは全店舗にセブン銀行のATMを設置、強みを発揮している。ゆうちょ銀行のATMは2万7244台で国内最大を誇るため、集客の大きな柱になる。