ローソンもセブン-イレブンに追いつくために、ゆうちょ銀行のATMが喉から手が出るほど欲しかったが、ファミマに競り負けた。実は、水面下でローソンとファミマの間で、ゆうちょ銀行のATMの争奪戦が繰り広げられていたのだ。17年1月から、ゆうちょ銀行はファミマの店舗に、まず3500台を設置する。新生ファミマは強力な武器を手に入れた。
ローソンvs.ファミマの闘いの実態は、伊藤忠商事と三菱商事の代理戦争である。新生ファミマの持ち株会社、ユニー・ファミリーマートホールディングスの社長になる上田準二氏は伊藤忠の畜産部門の出身で、ローソンの新社長の竹増貞信氏もまた三菱商事の畜産畑の出身。上田vs.竹増の畜産(食肉)対決との見方もできる。
ファミマのウイークポイント
ファミマにもウイークポイントはある。上田・新社長と親会社・伊藤忠商事の岡藤正広社長を後ろ盾にして事業子会社、ファミマの社長に乗り込んでくる澤田貴司氏の関係が微妙だといわれている。
上田氏は2000年に伊藤忠商事からファミマの執行役員に転じ、02年に社長に就任した。持論は「コンビニは2強に集約される。ナンバー3が上に行くのは厳しい」。万年3位から抜け出すためにM&Aを仕掛けた。コンビニのM&Aは難しいという業界の常識を覆し、09年にファミマはエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)を買収した。当初ローソンが買収する予定だったが、ブランドの存続をめぐり対立。当時、ファミマ社長だった上田氏が老朽化した店舗設備の更新費用など手厚い優遇策を用意して、オーナーを説き伏せ買収にこぎ着けた。ここでもファミマ対ローソンの構図だった。
ただ、今回はam/pmの統合とは規模が違う。am/pmの店舗は1100店程度。このうち不採算店などを除く730店を2年かけてファミマに転換した。サークルKサンクスは6300店と8.6倍だ。しかも、サークルKとサンクスでは契約条件が異なる。前回の成功体験があるとはいえ、果たして2年半でブランドを統一できるのか。その間にも、コンビニの競争環境は目まぐるしく変わる。そもそもファミマ=ユニー連合は、ユニーのGMS(総合スーパー)をどう処理するのかという難問を抱えている。ライバル社のトップは、今回の買収を「弱者連合」と言ってはばからない。
経営統合の成果が着実に上がらなければ、伊藤忠の岡藤社長が強権を発動してトップの首をすげ替えるかもしれない。伊藤忠の元首脳は「我慢の限界は2年」とみている。