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JMR生活総合研究所「消費と会社の戦略を読む」

セブン&アイの柱「オムニ7」、失敗か…アマゾンや楽天に圧倒的敗北、「閉鎖性」解消がカギ

文=舩木龍三/JMR生活総合研究所、ビジネス・ディベロップメント・マネジャー
セブン&アイの柱「オムニ7」、失敗か…アマゾンや楽天に圧倒的敗北、「閉鎖性」解消がカギの画像1セブンイレブンの店舗(「Wikipedia」より/221.20)

 2015年11月、セブン&アイ・ホールディングス(HD)はインターネットとリアルを融合したオムニチャネル戦略として、「omni7(オムニセブン)」をグランドオープンさせた。サービスの最大の特徴は、セブン&アイHDのコンビニエンスストアやスーパー、百貨店など9つのECサイトで注文した商品をセブン-イレブン約1万8,000店で店頭受取りができる点である。

 同社では、このオムニチャネル戦略をセブン-イレブンの登場に続く第2ステージと位置づけ、業態を超え、ネットと融合した新しい買物習慣をつくることを目指している。この試みは成功するのか、現状と今後の可能性について検討したい。

現状:事実から確認できること

 

セブン&アイの柱「オムニ7」、失敗か…アマゾンや楽天に圧倒的敗北、「閉鎖性」解消がカギの画像2「JMR生活総合研究所 HP」

 昨年11月1日にオムニセブンがスタートしてから11カ月が過ぎようとしているが、これまでに「成功した」という声は聞かれない。現状はどうなのか、確認できる事実をみてみる。

・スタート1カ月後:会員数は100万人を突破、ネット通販売上は前年同月比3割増(「日経MJ」<2015年12月9日号>より)
・同3カ月後:会員数は150万人を突破、1日50万人以上が訪問(「WWDジャパン」<2月15日号>より)

セブン&アイの柱「オムニ7」、失敗か…アマゾンや楽天に圧倒的敗北、「閉鎖性」解消がカギの画像3『比較ケースから学ぶ戦略経営』(KADOKAWA・中経出版/松田久一)

・2015年度のオムニセブンの売上が1,418億円。取扱い品目数は300万アイテムへ(セブン&アイHDのIR情報より)
・18年度にはオムニセブンの売上が1兆円。取扱い品目数600万アイテムを目指す(セブン&アイHDのIR情報より)
・セブン-イレブン1店当たりの1日平均店頭受取件数は1~2件がほとんど(ビジネス誌による15店舗の取材)
・16年度第1四半期決算説明会でオムニチャネル戦略の見直しを公表(セブン&アイHDのIR情報より)

 セブン&アイHDによると、15年度のオムニセブンの売上は「ほぼ計画通り」としているが、第1四半期決算説明会で見直しを公表した。メディアなどで成功事例として取り上げられていないのは、会員数などの実績について対外発表ができていないためであり、ここにきてセブン&アイHDは計画見直しを宣言した。(図表1)

セブン&アイの柱「オムニ7」、失敗か…アマゾンや楽天に圧倒的敗北、「閉鎖性」解消がカギの画像4

なぜ、うまくいっていないのか 他社比較

 オムニセブンは、急成長するアマゾン、楽天など大手インターネット通販に対し、ネットとリアルを融合することで対抗、差別化しようとしている。戦略のポイントとして、売場、商品、接客の3つを挙げている。

舩木龍三/JMR生活総合研究所、ビジネス・ディベロップメント・マネジャー

舩木龍三/JMR生活総合研究所、ビジネス・ディベロップメント・マネジャー

JMR生活総合研究所

 生活者の総合研究に基づいて、新しい事実を発見し、その事実から戦略を組み立て、経験を生かしたコンサルティングを通じて、クライアントの問題解決を行う。1991年に設立してから今日までの約25年の間に、年間平均250、延べ5000のテーマに取り組んできた実績を持つ。主たる領域は、食品、飲料・酒、化粧品・日用雑貨、輸送機器、家電・情報通信、流通など生活者と接点を持つ業界。日本を代表する企業のマーケティング課題のソリューション(解決)に取り組んでいる。

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