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小黒一正教授の「半歩先を読む経済教室」

債務残高(対GDP)、いずれ360%で財政持続不可能か…財政再建目標の修正に潜むワナ

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 しかし、補正予算でのGDPの押し上げは一時的な効果しか持たず、債務残高は借金分だけ確実に増加するため、債務残高(対GDP)が短期的に縮小しても、むしろ中長期的には、債務残高(対GDP)が増加してしまう可能性が高い。財政再建目標の修正で、中長期的に債務残高(対GDP)が縮小すれば問題ないが、それがPB赤字の容認に政治利用される可能性があり、毎年の予算編成で財政規律が働かなくなるおそれがある。

 この背後には、リフレ派の考え方や、補正予算で公共投資拡大を図りたい国土強靭化派の政治的な意図のほか、総理の意向を「忖度」する思惑も見え隠れする。実際、今回の骨太方針では、デフレ脱却が進まないなか、総論の第1章から「デフレ」という言葉が消失しているが、それと同時に、19年10月に予定する消費税率の引き上げに関する記載も完全に消えている。

 なお、ドーマー命題を利用すれば、財政赤字(対GDP)と名目成長率の比として、長期的に到達する債務残高(対GDP)の収束値が計算できる。1995年度から2015年度での名目成長率(平均)は0.29%で、内閣府・中長期試算での財政赤字(対GDP)は楽観的なケースでも2025年度に3.6%に拡大する。ドーマー命題を利用すれば、長期的に到達する債務残高(対GDP)は1241%に収束する。名目成長率が1%でも、債務残高(対GDP)は360%に収束し、財政が持続不可能なのは明らかである。

 日銀の出口議論が徐々に始まりつつある今、金利が上昇局面に向かう前に、財政・社会保障の抜本改革を進めるべきである。
(文=小黒一正/法政大学経済学部教授)

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