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鈴木領一(すずりょう)のビジネスの超ヒント!

寿命を画期的に延ばす物質が発見、日本で普及始まる…がん・認知症リスク低減にも期待

文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー
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 しかし、自然界にはテロメアの回数券が復活する不思議な生物が存在する。ロブスターがその代表的な生物である。ロブスターは驚くべきことに「老化しない」体を持っている。ロブスターは、細胞分裂で減っていくテロメアを修復する「テロメラーゼ」という酵素をつくる機能を体内に持っているのだ。テロメラーゼは、いわば細胞を若返らせる酵素である。だからといって不老不死ではない。環境の悪化や天敵による捕食によって死んでしまうため、どれほど長く生きられるか正確にはわかっていない。

 また二枚貝も同じ機能を持っており、ロブスター同様に「老化しない」体であることが知られている。13年、アイスランドで取れた二枚貝が、調査の結果507歳であることがわかった。つまり、日本が戦国時代だった頃から生きていたことになる。この二枚貝の超長寿の秘密も、テロメラーゼの働きにあるのだ。

 テロメラーゼを発見したのが、先述したブラックバーン博士だ。同博士は、1984年に単細胞生物の中にテロメラーゼを発見し、09年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。しかし、当時は人間の体内では発見することができず、ヒトへの応用研究はなされないままだった。

 しかし90年初頭、ビル・アンドリュース博士という人物が、人間の体内に「ヒトテロメラーゼ」を発見する。長らく、人間の細胞にはテロメラーゼをつくる仕組み、すなわち細胞が若返る仕組みがないと思われてきた。言い換えると人間の細胞は、細胞分裂を繰り返せば、いつかはテロメアの長さの限界に達して細胞の寿命が尽き、細胞老化は避けられないと考えられてきたのだ。

 ビル博士は、人間の細胞の中に、例外的にテロメラーゼをつくる細胞があることに着目した。それは生殖細胞だ。仮に生殖細胞がテロメラーゼをつくることができなかった場合、親の老化した細胞のまま、次の世代(赤ちゃん)が誕生することになり、人類は早々に滅亡してしまう。それを避けるために、生殖細胞にはテロメラーゼをつくる仕組みが備わっているのだ。ビル博士は、「ひとつの受精卵から分化したのだから、すべての細胞に、細胞を若返らせる仕組みがあるのではないか」と仮説を立て、研究を続けた結果、画期的な発見をすることになる。

鈴木領一/コンサルタント

鈴木領一/コンサルタント

 思考力研究所所長。行政機関や上場企業の事業アドバイスをはじめ目標達成のためのコーチングも行っている。プレジデント誌などビジネスメディアへの記事寄稿多数。また100の結果を引き寄せる1%アクション(サイゾー刊)は、氏のコーチングメソッドを初公開した書籍で、主婦から経営者まで幅広い層に支持されロングセラーとなっている。また、出版プロデュースの活動も行い、代表作には小保方晴子氏の『あの日』(講談社刊)がある。

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