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苦境のワコールの最大の汚点、ピーチ・ジョン買収の代償…名門ブランド毀損

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ワコール本社(「Wikipedia」より)

 ワコールホールディングス(HD)は次期社長に副社長の安原弘展氏が昇格する。創業家以外の社長就任は初めて。6月28日に開く株主総会後の取締役会で正式に就任する。社長在任31年に及んだ塚本能交氏は代表権のある会長に就く。

 安原氏は1975年に同志社大学商学部を卒業し、ワコール(現ワコールHD)に入社。営業畑が長く、中国をはじめ海外経験も豊富。2011年から今年3月末まで事業会社、ワコールの社長を務め、現在は会長職にある。

 ワコールHDは、難局を迎えている。婦人下着では国内首位だが、最大の販路である百貨店のアパレル販売の落ち込みに加え、インターネット通販業者の増加で経営環境が激変した。通販対策と海外でのシェア拡大が急務だ。

 連結決算の第3四半期(17年4月~12月)の実績では、主力のワコールの国内事業の売り上げは前年同期比2.1%減で、海外は8.3%増。18年3月期通期の連結売上高は2.1%増の2000億円の見込み。国内の低迷を海外が補ったかたちだ。純利益は28.1%減の90億円になる。

 ワコールHDはこれまで、百貨店依存から脱却する手を打ってきた。

 12年4月、欧州など世界各地に販路を持つ英イヴィデン社を約200億円で買収、100%子会社にし、15年からワコールヨーロッパとしている。

 今年1月20日からパリで開催された世界最大級のランジェリー展「サロン・インターナショナル・ド・ランジェリー」で、ワコールブランドが初めて「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。欧州ブランド以外の受賞は初めてという。

 国内では15年4月、リコーの子会社で婦人服中堅の三愛から水着・下着事業を買収した。買収金額は10億円前後とみられる。三愛はファッション系水着の最大手で「三愛水着楽園」を全国展開している。事業会社のワコール傘下の子会社が事業を引き継いだ。

 他方で、ワコールHDは宿泊事業に進出した。今年4月28日、平安神宮や知恩院など観光施設が集中する京都・岡崎に京町家を改修した簡易宿泊所「京の温所(おんどころ) 岡崎」を開業した。

 築92年の町家の1棟貸しで、延べ床面積は92万平方メートル。2~6人で宿泊でき、価格は1棟1泊当たり6万~18万円。

 今後、二条城近くや西陣を中心に京町家を借り受け、22年度までに簡易宿泊所を50棟にまで増やし、年間10億円の宿泊料収入を目指すとしている。

創業家出身の塚本能交氏による奇々怪々な買収劇

 今回社長を退く塚本能交氏は、創業者である塚本幸一氏の長男として1948年に生まれた。幸一氏は日本の女性にブラジャーを広めた立志伝中の人物だ。能交氏は芦屋大学教育学部卒。87年、ワコール(当時)社長に就任した。39歳という若い社長の誕生である。

 創業家は神輿に乗って、経営は番頭が行うのが近江商人のしきたりだったが、能交氏は神輿から降りて、自ら経営を行った。

 能交氏は周囲を仰天させるM&A(合併・買収)を敢行した。しかし、女性用ランジェリーの通信販売のピーチ・ジョン(PJ)の買収ほど奇々怪々なものはなかった。PJは、ワコールのイメージとは異なる世界で存在感を示していた。

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