9月6日の早朝3時すぎに発生した北海道胆振東部地震は、日本中に衝撃を与えた。マグニチュード6.7、最大震度7を記録し、北海道全域で停電する「ブラックアウト」が発生したほか、一部の地域では断水や液状化現象も起きたことが伝えられている。
現在は電気や交通など生活インフラの大部分が復旧しているが、土砂崩れなど二次災害が起きた地域では、いまだ救助活動が行われている。災害時に被災地の様子や救助の進展を的確に伝えることは、テレビ局や新聞社をはじめとするマスコミの大事な使命といえるだろう。
そんななか、地元メディアの北海道テレビ放送(HTB)の失態が非難を浴びている。HTBはテレビ朝日系列の地方局だが、地震報道にあたっていたスタッフ2名が6日に札幌市清田区で取材中、誤って液状化した泥に足を取られ身動きが取れなくなり、消防に救助される事態になったという。
産経新聞9月11日付記事によると、消防に救助されたのはHTBの女子アナウンサーと男性記者で、泥にはまったのは正午前、助け出されたのは17時半ごろだったという。
そのため、インターネット上では「報道は必要だけど、細心の注意を払って取材活動をしてほしい」「地震の当日に6時間も消防を独占するなんて論外」「地元のテレビ局が被災地で迷惑かけちゃダメでしょ」「邪魔でしかない」「災害時はマスコミがでしゃばってもロクなことがないな」といった非難の声が続出している。
HTBは10日に公式サイトで「取材活動についてのお礼とお詫び」として、事の経緯を説明するとともに、以下のような謝罪文を発表した。
「救助にご協力いただいた住民の皆様と消防をはじめ関係機関に心からお礼申し上げます。本来の活動に支障を生じさせてしまいましたことについて深く反省いたしますとともに、ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます」
震災後にマスコミの迷惑行為が問題視されるケースは多く、2016年の熊本地震が起きた際も、多数の取材行為が批判の対象となっている。
同年4月放送の情報番組『Nスタ』(TBS系)では、避難所前からの中継の様子が物議を醸した。多くの人々が避難所に身を寄せている映像が流れるなか、カメラに映り込んだ男性から「見世物じゃないって! クルマ邪魔! どかせよ!」と注意を受けたのだ。「ちょっとご迷惑になってるようですいませんでした!」という謝罪とともに中継は終了したが、視聴者からは「被災者のまわりにハイエナみたいに群がってるのが不快」「マスコミのクルマが邪魔で避難物資の供給が遅れたケースもあるし、怒られて当然だろ」といった声が続出した。
被災地で取材を行う際は、被災者に配慮した行動が何より大切だ。
(文=編集部)