北海道南西部地方を震源として6日午前3時8分頃に発生した「平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震」。最大震度7の揺れを観測し、6日17時現在、死亡者は8人、安否不明者は20人に上り、道内ほぼ全域の約295万戸が停電(一部地域ですでに復旧)するなど被害が拡大している。
北海道では2013年に十勝地方南部を震源とするM6.5の地震が発生したが、内陸を震源とする地震は少なく、気象庁の統計がある1923年以降で8回しかない。
今回の地震発生のメカニズムや他地域への影響などについて、武蔵野学院大学の島村英紀特任教授(地震学)に話を聞いた。
――今回の地震発生のメカニズムは?
島村教授 地震には「海溝型」と「内陸直下型」の2種類ある。海溝型は東日本大震災(2011年)や南海トラフ地震のように、基本的に地下のプレートが動くことで発生し、一定の期間サイクルで必ず起きる。一方、今回のような内陸直下型は、地層の歪みやねじれによって発生し、いつ、どこで起こるのか予測不能であり、繰り返し起こるのかもわからない。
また、内陸直下型は人々が生活している場所と震源地が近いので、被害が大きくなりやすい。日本最大の内陸直下型といわれる安政の大地震(1855年)では、死者は約1万人におよんだといわれる。関東大震災(1923年)でも大きな被害が生まれた。
東京では揺れを体感できる地震は2週間に1回くらいの頻度で起きるが、札幌では年間に5回くらいしかない。そんな地震の少ない北海道でも、強い内陸直下型地震がいつ起きてもおかしくないということは、注意すべきだ。
――今後、北海道で大きな地震が続く可能性は?
島村教授 大きな本震のあとに小さな余震が続くケースが一般的だが、同じ内陸直下型の熊本地震(2016年)では、1回めの揺れのあとに、それを上回る揺れの地震が発生した。よって、今後も大きな地震が続くのかどうかは、なんともいえない。
――首都圏での地震につながる可能性は?
島村教授 今回の震源地と首都圏は約800km離れているので、影響は及ぼさないと考えられる。だが今回の地震と関係なく、首都圏は海溝型、内陸直下型ともに震度6以上の大きな地震がいつ起きてもおかしくない状況であることには変わりない。
(文=編集部)