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ミドルエッジ「懐かしい! をお送りします」

11月6日は松田優作の命日…40歳で逝った名優の“ブレイク後”を振り返る

文・構成=ミドルエッジ

 あなたにとって「懐かしい」とはどんな情景でしょうか? 1970~90年代の「懐かしい」を集めたのが「ミドルエッジ」。あなたの記憶をくすぐる「懐かしい」から厳選した記事をお届けします。

 今回のテーマは、松田優作。1989年11月6日、40歳という短い生涯を終えたカリスマ俳優が送った晩年を振り返りたいと思います。

30歳ごろより、アクション俳優から演技派俳優への脱皮を試みる

 73年、ドラマ『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)のジーパン(柴田純)役でブレイクした松田優作。その後もドラマ『探偵物語』(同)、映画『蘇える金狼』(79年)などのヒット作に恵まれたものの、30歳を過ぎた頃から「大の男がオモチャのピストル持って何やってるんだ」「もう下手なうそにはつきあいたくない」との思いから、アクション俳優路線から演技派俳優路線へ転向しました。しかし、なかなか思うような演技ができず、時に「俳優を辞めてしまいたい」と思うほどの挫折感を味わいながら、試行錯誤の日々が続いたといいます。

 転機となったのは、82年に放送された向田邦子原作のドラマ『春が来た』(テレビ朝日系)。同作の撮影中、松田は、文学座時代からの盟友で主演の桃井かおりと大喧嘩し、「ドラマなめてんの!? 優作」と一喝されたといいます。この日を境に、松田の演技はみるみる変化していき、翌年に公開された『家族ゲーム』で各映画賞を総なめする活躍を見せ、演技派俳優としての才能を開花させることに。

『ブラック・レイン』で念願のハリウッドデビュー

 その後、40歳の時に、リドリー・スコット監督の映画『ブラック・レイン』(89年)で、念願のハリウッドデビュー。ニューヨーク市警の刑事役を務めるマイケル・ダグラス&アンディ・ガルシアと敵対する、ヤクザの佐藤役を怪演します。その芝居の素晴らしさ、圧倒的存在感はオーディションの時から際立っていたようで、当初の脚本では殺されるはずだったところ、急きょ変更され、殺さずに逮捕される設定になったという説もあるほどの名演を見せました。この演技に感銘を受けた名優ロバート・デ・ニーロからは次回作で共演したいとオファーが届き、2人でショーン・コネリー監督作品へ出演する可能性もあったそうです。

突然の死。「役者なら生き返ってみろ!」と原田芳雄の名弔辞も

 しかし、松田は88年に公開された深作欣二監督の映画『華の乱』撮影時から、尿が出なくなり腹が膨れるという身体の異常を来し、後に膀胱がんに罹患していることが判明。自身の病を知りつつも、『ブラック・レイン』の撮影を強行し、作品が日本で公開された約1カ月後の11月6日に突如、帰らぬ人となってしまいます。

 享年40。あまりにも突然の死に、弟分として松田に可愛がられていた仲村トオルは「優作さん! 起きてください! 早すぎるよ!」と泣き叫び、兄貴分だった原田芳雄は「優作、俺は今までお前が死ぬとこを何度も見てきた。そしてそのたびにお前は生き返ってきたじゃないか。役者なら生き返ってみろ! 生き返って来い!」と憤るような弔辞を送っています。

 あれから29年。もしも生きていれば、松田優作は69歳。生きていたら、ハリウッドでどんな活躍をしていたのか、そして、どんな渋くてカッコいい69歳になっていたのか……タラレバは尽きません。

 この連載では、次回以降も皆さまの脳裏に「懐かしい」が蘇りそうな記事を提供して参ります。「こんな記事は?」「あのネタは?」なんてお声も、お待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
(文・構成=ミドルエッジ)

●刑事ドラマ「太陽にほえろ!」マカロニとジーパンの『殉職』を比較してみた!
●松田優作の初監督作品『ア・ホ―マンス』ロックバンドARB石橋凌が松田に誘われ俳優デビュー! 演技をするな!
●『探偵物語』出演者のその後が気になる~だから追ってみた!!

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