
コーヒーチェーン「エクセルシオールカフェ」が危機的状況だ。既存店売上高は10月こそ前年同月を上回ったものの、9月までは12カ月連続で前年を下回っていた。客離れが深刻で、2018年10月までの10年間(120カ月)で客数が前年を上回った月は、わずか13にすぎない。9割の月で前年同月を下回っているのだ。競争が激化するなか、客の流出が止まらない。
不採算店の閉鎖を進めているため、店舗数は激減している。2008年~10年ごろは170~180店程度を展開していたが、今年10月末には123店まで減った。この間、3割減ったかたちだ。当初は積極的に出店を進めていたが、拡大路線は長くは続かなかった。
エクセルシオールの1号店が誕生したのは1999年7月。その3年前の96年8月に「スターバックスコーヒー」の日本1号店がオープンした。スタバは、カフェラテなどエスプレッソをベースとしたミルク系のコーヒー、いわゆる「シアトル系コーヒー」のブームを巻き起こした。このブームに乗る、または対抗するかたちでエクセルシオールを誕生させている。なお、エクセルシオールは、コーヒーチェーン「ドトールコーヒーショップ」を運営するドトール・日レスホールディングスが展開している。
エクセルシオールとスタバは、メニューや価格帯、雰囲気など、似ているところが少なくない。だが、両者は大きく明暗が分かれてしまった。エクセルシオールは低迷しているが、スタバは絶好調だ。
スタバ成功の要因
スタバの今年9月末時点の国内店舗数は1392店。エクセルシオールの10倍以上の規模だ。これまで順調に店舗数を伸ばしてきたが、今後の伸びもまだまだ期待できる。スタバといえば、近年は店内の混雑などが原因で顧客満足度の低下が指摘されているが、裏を返せば、混雑するほどの人気があるということだ。多少の自社競合であれば混雑解消につながるので、客の共食いを気にせず出店することもできるだろう。出店余地はまだまだありそうだ。
エクセルシオールはスタバの3年後に1号店を出したわけだが、この3年という年月は大きかったといえるだろう。スタバはこの時すでに100店を展開しており、日本である程度の地位を確立していた。一方、エクセルシオールはブームに乗ることはできたが、二番煎じの感が否めず、「スタバのモノマネ」というイメージを覆すことができなかった。出店したい好立地にはスタバがすでに進出しているという状況が広がり、エクセルシオールは独自色を発揮できなかったといえる。