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日本電産、成長神話に陰りか…日本経済、永守会長ですら見誤るほどの未知なる変化

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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日本電産、成長神話に陰りか…日本経済、永守会長ですら見誤るほどの未知なる変化の画像1日本電産・永守重信会長(写真:ロイター/アフロ)

 世界経済の尋常ではない変化が、日本電産の業績を直撃した。特に、中国経済の減速の影響は大きい。中国では個人消費が落ち込んでいる。背景には、中国政府の政策の効果が表れづらくなっていることや、米中の貿易戦争の影響がある。そのため、日本電産は2019年3月期の業績予想の下方修正を余儀なくされた。

 一方、国内の株式市場では、業績予想の下方修正を好感する関係者が少なくない。その理由は、リーマンショック後などに日本電産が下方修正を発表したのち、同社の業績が反転したからだ。日本電産は保守的な見通しを出すことでも知られている。「日本電産が業績悪化に言及したということは、市況反転の兆しか」と、先行きへの楽観姿勢を強める投資家もいる。1月18日、21日の同社株価の反発の背景にはそうした憶測があった。

 この見方に根拠があるか、冷静に考えなければならない。なぜなら、過去と現在の状況は大きく異なる。過去こうなったから、今回もそれが当てはまるとは、一概にいえない。先行きは、各国の政治動向などを基に考えることも必要だ。2019年前半頃までは、衆参同日選の可能性や消費税率引き上げを控えた政策期待から、国内の株価が上昇基調で推移する可能性はある。しかし、年後半、米国経済の減速の鮮明化など、海外経済のリスクが顕在化する可能性がある。「尋常ではない変化」との表現を用いた永守重信会長の真意は、慎重かつ客観的に考えるべきだ。

景気変化の影響を受けやすい日本電産

 
 日本電産は、パソコンのハードディスクドライブ(HDD)用の精密小型モーター分野を中心に成長を遂げてきた。HDD用モーター分野で同社のシェアは世界トップである。日本電産はモーターの小型化に取り組み、薄型ノートパソコンの普及とともに需要を取り込んできた。2007年度末の時点で、事業区分別売上構成の50%超が精密小型モーター事業だった。

 リーマンショック後、世界のエレクトロニクス市場では、スマートフォンをはじめタブレット型デバイスが普及した。また、新興国での家電需要も高まった。それに加え、世界最大の自動車市場である中国では、大気汚染対策のために電気自動車(EV)などの普及が重視されている。中国では工場の自動化(FA、ファクトリー・オートメーション)のためにロボット需要も高まってきた。ロボットの駆動にも多くのモーターが必要とされる。

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