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“昭和最後”にして“平成最初”の1989年1月を考察する【第3回】

カルロス・ゴーン登場の10年前、日産自動車がいまだイケイケだった“昭和最後”の7日間

文=ミゾロギ・ダイスケ
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死後の世界を描いたトンデモ映画が大ヒット

 昭和63年末に封切られた、昭和最後のお正月映画は、洋画がアニメと実写の合成作『ロジャー・ラビット』、エディ・マーフィ主演の『星の王子 ニューヨークへ行く』、ロバート・デ・ニーロ主演の『ミッドナイト・ラン』など。

 邦画は、東宝が光GENJI主演の『ふ・し・ぎ・なBABY』&『…これから物語 ~少年たちのブルース~』、東映は人気シリーズ最終作『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎完結篇』&長山洋子主演の『恋子の毎日』、松竹が『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』&『釣りバカ日誌』(第1作)といったラインナップであった。

 一方、平成最初の正月第2弾映画(年明け公開)として封切られたのは、洋画ではドルフ・ラングレン主演の『レッド・スコルピオン』、ジョン・カーペンター監督作でのちにカルト映画扱いを受ける『ゼイリブ』など、B級テイストに溢れた作品だった。

 この傾向は邦画にも存在した。1月14日には、“霊界の宣伝マン”を自称していた俳優の丹波哲郎が原作・脚本・総監督を手がけた『丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる』が公開されている。B級感あふれるこの作品は、まさかの大ヒット。のちにシリーズ第2弾、第3弾も制作された。

 1月21日公開の和製ホラー映画の『スウィートホーム』は、後のJホラーとは文脈が異なる、伊丹十三製作総指揮作品(監督は黒沢清)。バンドブームという時代背景もあってか、レベッカのボーカリスト・NOKKOがヒロインを演じている。同作は訳あってDVD化、ブルーレイ化されておらず、現在では視聴が極めて困難な幻の作品であることも付け加えておこう。

 それにしても現代の視点から見ると、『丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる』というタイトルはなかなか強烈だ。昭和の末期なら確実に改題が検討されただろう。しかしこのタイトルにゴーサインが出たということからも、自粛ムードも、平成が始まると早期に薄まったことがわかる。
(文=ミゾロギ・ダイスケ)

●ミゾロギ・ダイスケ
ライター・編集者・昭和文化研究家/映画・アイドルなど芸能全般、スポーツ、時事ネタ、事件などを守備範囲とする。今日の事象から、過去の関連した事象を遡り分析することが多い。著書に『未解決事件の昭和史』(双葉社)など。

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