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ジャパンディスプレイ、現預金激減で経営危機深刻化…中国ファンドの軍門に降る

構成=長井雄一朗/ライター
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ジャパンディスプレイ、現預金激減で経営危機深刻化…中国ファンドの軍門に降るの画像1ジャパンディスプレイの戦略発表会の様子(写真:つのだよしお/アフロ)

「日の丸液晶」とも呼ばれるジャパンディスプレイ(JDI)の経営再建が大きな節目を迎えようとしている。

 台湾の電子部品メーカーや中国の投資ファンドなどで構成する台中連合3社から総額1100億円超の資本増強を受け入れ、さらに官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)から追加支援を受ける方向で大筋合意したことが報じられた。正式決定すればJDIの再建前進に期待が持てるものの、ソニー・東芝・日立製作所の中小型液晶ディスプレイ事業を統合した国策企業は外資の軍門に降ることになる。

 そのJDIが2月14日に発表した2019年3月期第3四半期決算から見えてくるのは、現預金の減少が深刻化している実情だ。なぜJDIの経営状況はここまで悪化してしまったのか。東京商工リサーチ情報本部情報部の原田三寛部長に聞いた。

iPhoneの販売不振が直撃

――エルピーダメモリのときもそうでしたが、日の丸資本のモノづくりはなぜ失敗することが多いのでしょうか。

原田三寛氏(以下、原田) JDIはエルピーダメモリやルネサスエレクトロニクスと同じくくりで語られることが多いですが、確かにうまくいっていないように思えます。エルピーダは米マイクロン・テクノロジー傘下に入り、ルネサスは産業革新機構としては成功のカテゴリに入っています。JDIの失敗は、新技術に投資ができなかったこと、海外勢との競争の中で商品力を含めて遅れを取っていることが主な要因です。

――2月に発表された19年3月期第3四半期決算をどう見ますか。

原田 累計業績(連結)は売上高4653億3100万円(前年同期比17.7%減)、営業利益はマイナス106億2600万円(前年同期はマイナス388億9700万円)、最終利益はマイナス108億6100万円(同マイナス1006億1100万円)で、通期の業績予想も下方修正しました。

 当初、売上高は前年度比5~15%の増加、営業利益率は1~2%を見込んでいましたが、それぞれ前年度比10%の減収、200億円超の営業赤字へ大幅に引き下げました。通期の当期純利益は非開示です。もともと決算については厳しい結果が予想されていましたが、それを上回る数字でした。

 JDIは今も構造改革を行っており一定の効果を見せていますが、場合によっては追加の構造改革や減損が必要なため、その場合は200億円を大幅に超える最終赤字になる可能性もあります。

――追加の構造改革というのは、どういったものでしょうか。

原田 JDIは米アップルの「iPhoneXR」向けに「フルアクティブ」と呼ばれる液晶を供給していますが、iPhoneの世界的な販売鈍化が直撃しました。通期でも営業赤字が避けられない見通しを受け、第4四半期以降に構造改革の検討に入ることを明らかにしています。

 JDIは18年3月期に、構造改革費用として工場資産等の減損1038億円を含め、1423億円を計上しています。ただ、今まで投資してきたモバイル向けディスプレイを製造する白山工場は減損しておらず、追加の構造改革の対象になる可能性があります。中国の景気減速に伴うスマートフォンの販売不振で業績低迷に拍車がかかっていることから、モバイル向けディスプレイ事業が減損の対象になる可能性もあるでしょう。

 前回の構造改革は固定費の削減が主眼でしたが、今後はスマホ一本足打法からの脱却を急ぎ、モバイル向けディスプレイ以外の売り上げ拡大に注力する方針を示しています。フル稼働が続いていた白山工場の動向には要注意です。また、VR(仮想現実)事業などを伸ばしていますが、やはりアップル向けの事業に力を入れすぎた影響が大きいです。

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