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視聴率好調の『ラジエーションハウス』、第5話のストーリーが“穴だらけ”すぎて逆に話題に

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 窪田正孝が主演を務める連続テレビドラマ『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)の第5話が6日に放送され、平均視聴率は前回から1.7ポイント増の10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。前週の第4話は初めて1桁台に転落したが、すぐに2桁に戻した格好だ。

 このドラマは、レントゲンやCTで病変を写し出す放射線技師・五十嵐唯織(窪田)が「病の写真家」として、目には見えない患者の病気を見つけ出し命を救っていく医療ドラマだ。第5話は、CTやMRIを使って遺体の死因を究明する「Ai(オートプシー・イメージング)」がテーマとなった。死因を特定するための手段としては解剖がよく知られているが、Aiは遺体を傷付けることがないため、遺族の心理的抵抗や負担が少ないとされる。このような手段があることを視聴者に知らせた点において、この第5話は良かったといえる。

 だが、その一点を除けば、「ストーリーの破綻した、ひどい回だった」としか言いようがない。何がひどかったかを挙げていくとかなり長くなるが、まずはサブタイトルにツッコミを入れたい。この第5話には、「絶世の美少年が死亡 犯人は誰!?」というサブタイトルが付いていた。これは2つの意味で良くなかった。

 公園で亡くなっていた少年・直樹(南出凌嘉)は、確かに顔立ちは美しかったかもしれない。しかし、ストーリーの軸はそこではない。劇中で美少年扱いされたわけでもなく、美少年だから殺されたわけでもなかった。こんな言い方をしたくはないが、ストーリーと関係のない「絶世の美少年」という言葉を前面に押し出して視聴者を釣ろうとする、テレビ局のあさましい根性が見えるようだ。

 サブタイトルの後半「犯人は誰!?」の文句もいただけない。直樹少年の死因が事故なのか病気なのか、はたまた殺人なのかを絞り込むのは、ストーリーの重要な部分である。なぜそれをサブタイトルで思い切りネタバレするのか。ドラマへの愛が感じられない。

 五十嵐の同僚である放射線技師・威能(丸山智己)の扱いも雑だった。威能は死んだ妹の死因をきちんと究明しておかなかったことをずっと悔やんでおり、その反省からAiのスペシャリストになる道を選んだという過去がある。登場人物が今の仕事に関わる重い過去を背負っている設定はありがちではあるが、悪くはない。2話以降は技師のうちだれかひとりにスポットが当たる展開が続いており、第5話もその流れを踏襲するかに思われた。

 ところが、Aiをテーマとしたこの回において、威能に与えられた「Aiのスペシャリスト」との設定が特に生かされることはなく、結局のところ、また五十嵐が全部おいしいところをさらっていっただけ。主人公を際立たせるためとはいえ、周囲の人物の存在意義がどんどんなくなっていくようで残念だ。

 さて、Aiによって判明した直樹少年の死因は、肝臓破裂だった。五十嵐はこれを、強い衝撃が肝臓に与えられたためと判断。損傷しているのが体の右側であることから、左利きの格闘技経験者が殴ったのだと推測。続いて、直樹の友人であり救急通報をした少年・肇(小林春日)に不意にボールを投げたら左手でキャッチしたことなどから、肇こそ直樹を殴って死なせた犯人だと断定したのだった。

 この流れもすべてにおいておかしかった。互いの立ち位置がずれていれば、右利きの人だって相手の体の右側を殴れるはず。また、左手でボールをキャッチしたからといって左利きとは限らない。視聴者からは「むしろ、左利きの人がグローブをはめるのは右手では?」といったツッコミもあった。

 百歩譲って、五十嵐がAiに基づいて死因とその犯人を推理するところまでは良いとしよう。それでも、直樹の両親に検査結果を報告する場でそれを言い出すのはおかしい。直樹の弟もいれば、犯人である肇も居合わせているのだ。子どもにそんな話を聞かせるべきではないし、息子を殺された親とその犯人を一カ所に集めておいて「こいつが犯人です」と暴き立てるのは、さすがに配慮がなさすぎる。しかも、それを言うのが刑事でも探偵でもなくヒラの放射線技師なのだから、根本的に何かが間違っている。

 案の定、五十嵐の推理を聞いた直樹の父は逆上して立ち上がり、肇につかみかかろうとした。当たり前だ。息子を殺した犯人がすぐそこにいて、しかも今の今まで息子の友人として振る舞っていたなんて、許せるはずがない。とはいえ、暴力を黙って見ているわけにもいかない。その場にいた医師や技師たちがなんとか2人を引き離した。視聴者はここでもおかしな場面を見せられることとなった。直樹の父親を止めようとした医師の辻村(鈴木伸之)が「お気持ちはわかりますが、ここは病院ですよ」と言ったのだ。

 なんだそれは。まったく意味がわからない。病院だから殴ってはいけないという説得はないだろう。もし自分が父親の立場なら、むしろ何かあってもすぐ手当てできるのだから、せめて1、2発は殴らせろと言い返してしまいそうだ。

 結局、直樹の両親はあっという間に怒りを収め、最後には感謝して病院を後にした。これもあり得ない。理不尽にも息子の命を奪われて、犯人を憎まない親などいるのだろうか。ラストをいい話風にまとめるために、登場人物を無理やりいい人に仕立たようにしか見えない。それよりも、怒りと悲しみはいつまでたっても消えないという現実を描いたほうが腑に落ちたのではないだろうか。

 このように、隅から隅まで穴だらけだった第5話については、視聴者からも「なんで急に刑事ドラマになったのか」「ペラペラ感がひどかった」「今回はダメだったな」「だいたい原作通りらしいけど、この話はカットすればよかったのに」といった酷評が相次いだ。視聴率が好調だからといって適当な脚本を書いていると、視聴者離れを招く可能性もある。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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