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渡辺陽一郎「いちばん詳しい『人気の新車』完全ガイドシリーズ」

“隠れた人気車”トヨタのルーミー&タンクら4姉妹は子育て中ファミリーの強い味方だ!

文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト
“隠れた人気車”トヨタのルーミー&タンクら4姉妹は子育て中ファミリーの強い味方だ!の画像1トヨタの「ルーミー」(「トヨタ ルーミー | トヨタ自動車WEBサイト」より)

どんなクルマなのか?

 2018年度(18年4月から19年3月)における国内販売の総合1位は、軽自動車のホンダ「N-BOX」で23万9706台を届け出しました。小型/普通車の1位は、日産自動車「ノート」で13万1760台を登録しています。

 その一方で、意外に堅調に売れているのが、トヨタ自動車「ルーミー」&「タンク」、ダイハツ工業「トール」、スバル「ジャスティ」の4姉妹車です。4車ともに基本部分を共通化しています。空間効率の優れた背の高いコンパクトカー(小型車)で、18年度の登録台数は、トヨタブランドのルーミーが8万6645台、タンクが7万3013台でした。この2車種だけでも合計15万9658台に達して、ノートの登録台数を大幅に上回ります。ダイハツ・トールとスバル・ジャスティの台数も加えれば、約20万台に達します。あまり話題になりませんが、相当な人気車といえるでしょう。

人気を得ている理由

 ルーミー4姉妹車は、全長が3700mm(カスタムは3725mm)、全幅は1670mmに収まるコンパクトな5ナンバー車です。最小回転半径も14インチタイヤ装着車は4.6mなので、混雑した街中でも運転しやすいです。

 その一方で、全高は1735mmと高く、車内は広いです。後席を畳むと自転車なども積めます。扱いやすさと高い実用性を両立させました。しかも、価格はコンパクトカーとあって売れ筋グレードが150~180万円なので、出費の増える子育て世代のユーザーも購入しやすいです。

気になる8つのポイントチェック&星取り採点

(1)居住空間の広さとシートの座り心地

★★★☆☆

 車内は広く前席は快適です。後席も頭上と足元の空間には余裕がありますが、座り心地はあまり良くないです。

(2)荷物の積みやすさとシートアレンジ

★★★★★

 後席は床面へ落とし込むように小さく畳めます。荷室の高さに余裕があり、大きな荷物も積みやすいです。

(3)視界や小回り性能など運転のしやすさ

★★★★☆

 ボディスタイルは水平基調のデザインなので、前後左右ともに視界が良いです。小回りの利きも優れています。

(4)加速力やカーブを曲がるときの安定性

★★☆☆☆

 エンジンは直列3気筒1Lで、ノーマルタイプは動力性能が不足気味です。走行安定性も良くありません。

(5)乗り心地と内装の質感などの快適性

★★★☆☆

 プラットフォームは04年に発売された「パッソ」&「ブーン」と同じなので、乗り心地は少し粗いです。質感は平均的です。

(6)燃費性能とエコカー減税

★★★★☆

 ノーマルエンジンのJC08モード燃費は24.6km/Lと優れ、ターボも21.8km/Lなので悪くはないです。

(7)安全装備の充実度

★★★★☆

 スマートアシストIIIが標準装着され、衝突の危険が迫ると、車両と歩行者に対して緊急自動ブレーキを作動させます。

(8)価格の割安感

★★★★☆

 エンジンは1Lですが、天井の高いボディで車内は広く、荷室も大容量です。安全装備も充実して価格は割安です。

選ぶときに確かめたい3つのメリット

・後席を畳んで床を反転させると汚れ防止シートになり、自転車も積みやすいです。

・後席のドアは開閉時に外側へ張り出さないスライド式で、乗降性に優れています。

・前席の背面には後席用のテーブルが備わり、収納設備も豊富に装備されています。

後悔しないための3つの要チェックポイント

・後席は座面の柔軟性が乏しく座り心地が不満で、前後のスライド機能も付きません。

・ノーマルエンジンは加速力が足りず、ターボは2000回転付近のノイズが大きいです。

・足回りなどの設計が古く、重心も高いので、走行安定性と乗り心地が不満です。

こんなユーザーにおすすめ

 後席の座り心地は悪いですが、その上にチャイルドシートを装着すれば不満は生じません。スライドドアの採用で子どもを抱えた状態でも乗り降りしやすく、荷室や収納設備も使いやすいので、子育て世代のユーザーに最適です。

今後のモデルチェンジ予想

 発売は16年なので、フルモデルチェンジは当分行いません。それでもダイハツ「タント」で新しいプラットフォームを採用するため、ルーミー4姉妹車も補強を加えて安定性と乗り心地を高める可能性があります。特別仕様車はすでに設定していますが、販売の主力車種なので定期的に刷新します。

最近の販売状況と安く買うための商談方法

 前述のように、トヨタブランドのルーミー&タンクは販売が好調です。価格が割安なので多額の値引きは無理ですが、商談は行いましょう。東京は販売網が統合されましたが、ほかの地域であればトヨタの4系列間で姉妹車同士を値引き競争できます。下取り車の査定額も競わせられます。ライバル車のスズキ「ソリオ」とも競争させましょう。

リセールバリュー/数年後に売却するときの価値

 数年後には、中古車市場にルーミー&タンクが大量に流通しています。実用的なクルマなので売却額が大幅に下がる心配はありませんが、有利な条件も期待しにくいです。売却時の条件を重視するなら、大型のメッキグリルを装着したルーミーにエアロパーツを加えたカスタムを推奨します。

これが結論!/このクルマの総合評価&コメント

★★★☆☆

 背の高いコンパクトカーなので、運転しやすくて車内も広く、日常的な使い勝手に優れています。ただし、ルーミー4姉妹車は背の高い軽自動車が急速に売れ行きを伸ばすのに対抗して、2年少々の短期間で開発されました。そのためにエンジンとプラットフォームはパッソ&ブーンから流用され、動力性能、エンジンノイズ、安定性、乗り心地などに不満があります。

 今はトヨタ「ポルテ」&「スペイド」、日産「キューブ」など背の高いコンパクトカーの設計が古くなり、ルーミー&タンクに需要が集中していますが、商品力が優れているとはいえません。ライバル車のスズキソリオは機能を熟成させたので、これと比べて選ぶのが良いでしょう。

 なお、ルーミーの買い得グレードは標準ボディであればX・S(152万8200円)、エアロパーツを備えたカスタムであればG(183万6000円)になります。
(文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト)

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

1961年生まれ。神奈川大学卒業。1985年に自動車雑誌を中心に扱うアポロ出版株式会社に入社。その後、同社で複数の自動車雑誌やアウトドア雑誌を手掛け、1989年に自動車購入ガイド誌「月刊くるま選び」の編集長に。1997年にはアポロ出版株式会社の取締役も兼任。2001年6月に40歳を迎え、同月に「カーライフジャーナリスト」の肩書でフリーランスに転向。

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