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小早川隆治「日本のクルマづくり~さらなる志・凛・艶・昂を目指して~」

日産・新型デイズ、もはや軽であることを感じさせない快適さと性能に脱帽

文=小早川隆治/モータージャーナリスト
日産・新型デイズ、もはや軽であることを感じさせない快適さと性能に脱帽の画像1日産の「デイズ」(「日産:デイズ [ DAYZ ] 軽自動車 TOP」より)

 3月末に、日産自動車、三菱自動車工業の新型軽自動車「デイズ」「eKワゴン」が発表され、4月下旬に横浜でデイズの試乗会が行われた。2013年に導入された初代のデイズ、eKワゴンは、プログラムマネージメントは日産と三菱の合弁会社NMKVが行い、三菱が開発、生産して日産へ供給が行われたが、6年ぶりのモデルチェンジとなる2代目デイズは、プログラムマネージメントはこれまでと同じくNMKVだが、開発は日産、生産が三菱となった。

 2018年の国内販売台数はデイズが14.1万台(eKワゴンが4.4万台)と、「ノート」の13.5万台をも上回り、日産のベストセラーカーとなっている。日産によると近年、軽自動車のファーストカー比率が拡大、半数近い軽保有者が併有なしだという。新型デイズの導入により、ますますファーストカー比率は高まりそうだ。

 新型デイズのパブリシティーにある星野朝子副社長の「“技術の日産”が、その技術と情熱で、日本の軽自動車の常識を変えるべく開発に取り組んだ商品です。私達日産は、Game Changerとして軽市場を変革して参ります」という言葉は、まさに新型デイズにかける日産の想いを集約しているといってもいいものだ。

内外装デザイン

 外観スタイルは、しっかりとした骨格をベースに躍動感と精度感をキーワードにつくり込まれており、ヘッドランプ、テールランプのブーメランシグネチャー、キックアップしたサイドラインとCピラーまわりの造形も含めて、なかなか好感が持てる。

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 内装デザインも「快適な室内空間」「軽であることを感じさせない質感」「使い勝手」などを含めて魅力あふれるもので、エアコンのタッチパネルも非常に使いやすい。9インチの大型NAVI画面も非常に使いやすいが、ちょっと心配なのはコストが20万円を超えることだ。内装で一点気になったのは革巻きハンドルの触感で、もう一歩しっとりとした触感を実現してほしい。

パッケージング

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 軽自動車の枠いっぱいの外形寸法は変わらないものの、65mm拡大されたホイールベースにも起因して室内空間が一段と向上、実に多岐にわたる活用が可能だ。なかでも、「フーガ」並みという後席のひざ前スペースは「これが軽か?」と疑いたくなるほどのものだ。65mmのホイールベースの拡大を可能にしたのは、日産が今回開発した新型エンジンと、新開発のCVTなどのパワートレインによりコンパクトなエンジンルームが実現したことによるようだ。

動力性能

 動力性能の良さにも脱帽した。まずはじめに試乗したのは自然吸気仕様だったが、リチウムイオンバッテリーを搭載したS-HYBRID(スマートシンプルハイブリッド)システムによるモーターアシストも貢献してか、自然吸気でも十分に満足のいく走りを示してくれた。S-HYBRIDは「ハイウェイスター」グレードすべてに搭載されており、ゼロ発進時には機能しないようだが、発進後はすぐに機能するようで、走りだけではなく燃費にも貢献していることは明らかだ。ターボ仕様の走りは一段と良好で、高速道路の走行もまったく苦にならなかった。

ハンドリングと乗り心地

 ステアリング・ハンドリングはリニアリティーが良好で、ロールもそれなりに抑えられており、ワインディング路の走行も苦にならない。ただし、後席におけるタイヤからの細かい突き上げと粗粒路走行時のロードノイズが気になった。また、シートの快適性は、フロントシートはなかなかのものだが、後席のシートの着座感に関してはもう一歩だ。ゲームチェンジャーになるためにも、ぜひこれらは改善してほしいところだ。

小早川隆治/モータージャーナリスト

小早川隆治/モータージャーナリスト

1941年生まれ。学習院大学卒業後、東洋工業(現マツダ)に入社。RX-7&モータースポーツ担当主査、北米マツダ副社長などを務める。退職後、モータージャーナリストとして活動。日本自動車研究者ジャーナリスト会議監事。

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