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六代目山口組が出した伝達で、配下組員に固く禁じたシノギとは?

文=沖田臥竜/作家
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六代目山口組が出した伝達で、配下組員に固く禁じたシノギとは?の画像16月5日、定例会が開催された六代目山口組本部

 六代目山口組は6月5日に、神戸山口組は同10日に、それぞれ定例会を開催した。大阪開催でのG20サミットを目前に控えるなかでの定例会とあってか、その後の六代目山口組から出された通達や神戸山口組系二次組織の名称変更以外は、特段大きな動きがなかったようだ。水面下においても、分裂騒動絡みの激しい攻防戦が繰り広げられている様子もなく、任侠山口組も含めて、サミットを意識した自発的な自粛に入っていると口にする組員が多い。

 そうしたなかで、六代目山口組から出された伝達事項には、あらためて「山口組はひとつしかない」と配下の組員らに再認識させる内容も含まれていた。

「これまでにも、そうした通達が出されたことはありましたが、傘下の組員に対して、神戸山口組、そして任侠山口組という名称を口にすることを禁じたとのことです」(ジャーナリスト)

 それを徹底させるかのように、定例会の翌日となる6日に関係者の間に出回った移籍報告書では、任侠山口組のことを「織田の処」と表現していたそうだ。そんな通達事項のひとつに、過去に言い渡されたことがなかった内容も含まれていたのだ。それは特殊詐欺行為や不法投棄を行う産廃事業についても、六代目山口組ではシノギにするだけではなく、かかわることを固く禁じたというのである。

「現在、六代目山口組上層部では使用者責任について相当、警戒意識を持っているのではないかとみられています。というのも、住吉会では5月に、組織トップは顔も知らないような住吉会系の末端の組員が特殊詐欺を働き、有罪判決が確定したことで、住吉会の関功会長が暴対法に基づいた使用者責任による損害賠償請求を認める判決が水戸地裁で言い渡されたのです。六代目山口組からしても、仮に配下の組員が特殊詐欺などで有罪となれば、トップである司組長が使用者責任を問われかねないことを意味するわけです。そこで、法令遵守をアピールする狙いも含めて、あらためて、特殊詐欺にはかかわらないようにと通達を出したのではないでしょうか」(法律に詳しい専門家)

 同じく伝達された産廃についても、このように組関係者は指摘する。

「このご時世、特殊詐欺同様に末端の組員が手を染めやすいのが不法な産廃。ただし、暴対法や暴排条例の適用範囲が拡大されていくなか、今後は不法投棄をしているような人間と関係しているだけで組織の責任を追及されかねず、莫大な損害賠償を求められるかもしれない。それだけではない。それ以前に、特殊詐欺にしても産廃にしても使用者責任云々だけではなく、ヤクザの生き方として道理にかなっていないということ。そのために、かかわることを固く禁じることになった」

 確かに、この関係者が指摘するように、以前よりお年寄りなどの社会的弱者から多額の現金を騙しとる特殊詐欺について、六代目山口組では幾度となく、かかわることを禁じてきた。同じく不法投棄による汚染行為もヤクザの道理にかなわないということを、組員に徹底させるための今回の伝達ということではないだろうか。

 一方、神戸山口組では、冒頭でも触れたように、二次組織である四代目山川組が徳誠会へと名称変更を行ったという。またG20サミット開催中の3日間は、当局を刺激させないようにという配慮か、神戸市二宮にある神戸山口組事務所を閉鎖し、人の出入りをさせないようだ。

 分裂騒動が一種の膠着状態が続いているかのように見えるなかで、それぞれの山口組では、時勢に合わせた組織運営が行われているようだ。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新刊は、元山口組顧問弁護士・山之内幸夫氏との共著『山口組の「光と影」』(サイゾー)。

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