5G通信の機能から読み解くウラ事情
この中国が主導した5G通信の「大容量」「同時多接続」という仕様には、裏の目的がある。端的に言うと、中国製5G通信インフラとは「中国の全地球支配を完成させるための諜報インフラ」だ。ダウンロード20Gbpsという大容量通信は、動画を楽しみたい人ならまだしも、各端末から10Gbpsというアップロード能力は、そこまで必要なのかと言われれば疑問だ。
そこで、ドナルド・トランプ米大統領が「国防権限法」によって利用を禁止した中国企業5社の製品を見ると、通信企業が2社、監視カメラ企業が3社だ。
この監視カメラ企業の監視カメラは、インターネット経由でカメラ映像を見ることができるのだが、バックドアが仕込まれており、実は中国から丸見えだ。筆者も以前に中国製監視カメラをオフィスに置いていたが、ある日、カメラの向きが変わっていることに気がついた。エンジニアに調べさせると、何者かがインターネット経由でカメラのアングルを変えて室内を無断で監視していたのである。
中国製監視カメラは、本当に「スパイ機能」を有していたのだ。
また、なぜ5Gが必要なのか。
カメラ映像1台分くらいなら4G通信でスペックは事足りる。ところが、世界中に格安で販売した中国製監視カメラから映像を伝送するには、「大容量」「同時多接続」というスペックを満たした5G通信でなければ、カメラの台数分だけの通信回線が確保できない。逆に、この2つを組み合わせれば「世界諜報インフラ」が完成するということだ。
それが、トランプ大統領が国防権限法で中国製通信基地局と監視カメラを禁じた理由だ。
ファーウェイの基地局が世界中に設置されて諜報網が完成してしまえば、世界は実質的に中国の支配下に落ちる。すべての情報が制御され、私たちは無検閲の情報を手にすることが不可能になり、政治家は弱みを握られて中国の言いなりになる。
中国製基地局を利用した全人類の通信内容から、中国製監視カメラで撮影した映像がすべて中国共産党に渡り、世界は支配される。「世界諜報インフラの完成」が、中国製5G通信基地局の隠された目的だということを、世界はいまだに理解できていないようだ。
(文=深田萌絵/ITビジネスアナリスト)
深田萌絵(ふかだもえ)
ITビジネスアナリスト
早稲田大学政治経済学部卒 学生時代に株アイドルの傍らファンドでインターン、リサーチハウスでジュニア・アナリストとして調査の仕事に従事。外資系証券会社を経て、現在IT企業を経営。
『「5G革命」の真実』 スマホもいらなくなる5G時代の仮想社会。5Gはサイバー空間の「核」だ!技術覇権の争いではない、これは諜報戦争だ。アメリカの「5G潰し」と「6G戦略」。反トランプ「シリコンバレー」の暗躍とスパイ企業ファーウェイ。ロボット掃除機がスパイになる?「EV車はエコ」の大ウソ。世界が必要とする日本のセンサー技術…3時間でわかる「5G通信とITビジネスの未来」